【ハイキュー】酔 わ せ て 【短編集】

カルーア・ミルク - 国見英 ページ20

※国見目線です


「…記念日ぐらい飲めばいいのに。お祝いしたいって言ったのAのほうじゃん」

隣でジュースばかり飲むAにそう吐き捨てる。

「だ、だって…お酒苦手だし」
「一杯ぐらい飲めるんじゃないの？」
「度数によるよ」
「…めんどくさ」
「う…」

俺の一言に肩をすくめる姿も可愛いと思ってしまうのは、きっと彼氏としては普通のことなんだろう。


＿＿＿今日はAと付き合って3年の記念日。

『お祝いパーティーしようね』は最初こそ面倒だったけど、過去に2回もやっていればさすがに慣れるし、やってみればちょっといいものだなとも思ってしまった。


(…のはいいけど、ちょっとくらい酒に慣れる努力しろよ。一人で飲み会参加とかあったらどうするんだよ)

そんなことになったら…

慣れない酒を飲んで、酔っ払ったAを別の男が介抱＿＿＿なんてなればたまったものじゃない。


「…あ」
「？どうかした？」

ふと、我ながらの名案を思いついた。

(Aに酒を飲ませる方法として…使えるかな)


「…ちょっと待ってて」

そう言うと、不思議そうに首をかしげるAを残し、俺はキッチンへと向かった。


．


「はい、これ」
「…？なにこれ？」
俺がAに手渡したのは牛乳＿＿＿に見せかけた『カルーア・ミルク』というカクテル。


「牛乳？…にしてはなんか下に黒いの沈殿してない？」
「グラスの模様だろ。牛乳飲んどくとアルコールが覚めるの早いんだってさ」
「え…そうなの？」
「そ。だからお前もそれ飲んでから酒飲むなら文句ないだろ？」

持っていた知識を適当に生かし、Aにカルーアミルクを勧める。



こうでもしとけば、単純なAは引っかかるだろう＿＿という予想は的中。

それを一口飲んだAは……


「っ……！！？…っ英、これお酒じゃ…！？」
「ぷ…、騙されてやんの」
「もう！なにこれ紛らわしい！！」



…と一人でキレるAをみて、面白さと同時に愛おしさがこみ上げる。



「疑わないお前が悪いんだろ」


べ、と舌を出して見せれば、何を思ったかAは顔を赤くして、俺の胸を軽く叩いた。



「…さっさと言えよ、って？」
「……え、」

Aが求める言葉はわかっていて
3年も付き合ったんだからもうそろそろ、なんて期待してるのもわかってる。



まだそれが言えないのは、俺が単に臆病なだけ




それを自覚してるなんて、死んでも言ってやんない。


カルーア・ミルク
カクテル言葉【悪戯好き／臆病】

ライジング・サン - 孤爪研磨→←ウィスキー・フロート - 松川一静／花巻貴大

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