【ハイキュー】酔 わ せ て 【短編集】

アメリカーノ* - 照島遊児 ページ15

※照島目線です。あとあじわるい



「遊児、きいて。私ね、彼氏ができたの」

「……は？」

耳を疑った。
耳だけじゃない、それを俺に平然と伝えてくるこいつの神経も。


「…つまんねー冗談ならいらねぇべや」
「冗談じゃないよ、ほんとにできたの」
「……」


Aと俺は高校からの仲で、
こいつは見た目こそおとなしくないが、彼氏ができたことなんか今までなかった。


『遊児、試合観たよ！かっこよかった』
『どーせ " 条善寺が " だろ』
『違うよ、遊児が』

『もー…ナンパとかやめてよね』
『相手に迷惑かかるって？』
『…それもあるけど…なんか、嫌じゃん』


事あるごとに期待させるようなこと言ってきて
だからワンチャン、と思っていた。

こいつのあらゆる初めては俺が奪ってやろうと、そう思ってたのに…


「…どいつだよ」
「サークルの先輩。前からかっこいいなとは思ってたんだけど、向こうから告白してくれたの」

嬉しそうな顔も
幸せそうな声色も
今までならきっと、可愛いと思って見えていたはずのものが


「………それを」


今は


「え…っきゃ、」




憎たらしい





「それをなんで わざわざ俺に言うんだよ！！？」
「っ遊児……、ちょ…痛いっ…！！」


押し倒した衝撃で、テーブルの上のカクテルが溢れる。
が、そんなことを気にしてる暇なんかない。

「……つーかよく彼氏いんのに俺の家に上がって来れたな？警戒心ゼロか、馬鹿なんかよ」

「ちが、…っ遊児なら…大丈夫だと、思って」

「……んだそれ、このナリの男によく言えんべ
こんなん襲ってほしいって言ってるようなもんだろ」


手首を握る力を強め、無抵抗になったAの胸元に吸い付く。

「ぁ、っや、ゆうじ…っやめ…、」
「は、やめるわけねーだろ」


純粋な白い肌に、自分のつけた痕が残るのは気分がいい。


「…て、ゆか お酒、溢れて、」
「…この期に及んでそんなこと気にしてる暇あんのな、余裕じゃん。
…つーかそのせいにされても癪だし、酒なんかもういらねーべや」
「あっ…」

ブラウスのボタンを外している最中＿＿きっと本気で嫌なんだろう、Aは涙目で首を振っている。





(力ずくで手に入れたって、俺もAも幸せになんかなれないのはわかってる)



それでも、出し抜かれるのは好きじゃない。






「……やってる途中、お前の男に電話でもしてみるか？」







過程がどうあれ構わない




Aがほしい




アメリカーノ
カクテル言葉【届かぬ想い】

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