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Aside
「、、、」
有『、、、』
隼人くんの微かな息づかいがすぐ近くにある
ちょっと湿った洗ったばかりの髪からは、シャンプーのいい香りが
薄暗くて見えない分、聴覚、嗅覚が今までよりもうんと冴えている気がする
「っ、、」
その分、私の鼓動も今までの何十倍も速くなっている
目が慣れてきて見えた隼人くんの表情
かっこよくて
こんな時に良くないけど、好きが溢れ出てしまいそう
ガチャ
中『この部屋はみんないるか?』
扉が開き、中村先生のその言葉に、全員息を殺して寝たふりをする
やがて扉は閉まり、廊下の足音も遠くへ消えて静かになった
金『・・・行ったっぽいな』
金子くんが布団から出てきて電気をつけた
明るくなった部屋に安心したように、みんなゆっくりと布団から顔を出す
隼人くんが片手で布団を捲り、私も起き上がった
触れ合っていた体の部分が火傷したみたいに熱い
『やばかったねー』
『でもスリルあった』
有『さっきの奴、誰か知ってんの?』
「・・・え? あ、えっと、、田口くんでしょ?・・・あ、田之口くんだっけ、?」
有『ったく、名前も分かんないような男と同じ布団に入ろうとしてんじゃねぇよ』
なに、その言い方・・・
さっきの男の子は優しさでああ言ってくれて、助けようとしてくれたのに、そんな言い方しなくてもいいじゃん
「、、、隼人くんだって、」
さっきの千佳ちゃんとか...
有『なに?』
そう冷たく言い放った隼人くんの顔は怖くて、何も言い返せず、言葉をのみ込んだ
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作者名:こばと | 作成日時:2022年11月10日 17時