へろーまいえんじぇる【2j3j】

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剣持side




吸血鬼は紅茶を1杯、ココアを1杯用意して微笑みながら話を始めた

ただ、なんで今僕の親の話になったか分からなかった


「君の父親は私と話したことがあったかな

少年は知らないかもしれないが、君のお母さんは少年と同じくハンターだった

なった理由も全く同じだったよ

私はね、君のお母さんはすごく勇敢な人だと思うんだ

ハンターには向いてなかったけどな

そうと知っても、死にものぐるいで家族の仇を取ろうと頑張る姿に感動した

結局、君のお母さんの家族を殺したのは誰かわからなかったんだが


……とにかく、あの時から人間は分からなかったよ」


だんだん無表情に変わっていく顔を正面から見て

少しずつ苛立ちが腹の下の方に溜まっている気がした

どうしようもなく人間を小馬鹿にしたような笑みにどこか苛立った


「でもさぁ…

美味い飯が食えて、過去にたくさんの幸せが貰えて

それだけで十分じゃないか」


やめてくれ


「誕生の瞬間があって、老いがあって

しっかりとした場所で学んで考えて実行して

ちゃんと絶望できて、感動できて

ゴールが…死の瞬間がすぐ近くにあって


私はいつも、すごく不思議でたまらないんだ」


黙ってくれ


「なぜゴールまで全力になるの？」


やめろ


「家族なんて、他人のうちじゃないのか」


「黙れよ！！！！」


机に大袈裟に手を着いて音を立てても、目の前の吸血鬼はなんの興味もないというように紅茶を啜っていた


「疑問を持って、何がダメなの？」


「お前の尺度と俺の尺度は違うんだよ！！」


僕の目をしっかり捉えた赤に、今度は不快感を覚えた


「…なんなんだよ

急に俺の家族の話し出したりして

俺がどれだけ絶望したと思ってんだよ


吸血鬼には分かんないよな

人間と考え方自体違うんだもんな


何百年も生きるし、1人や2人の犠牲どうでもいいんだろ

家族の大切さなんかわかんねぇんだろ

だったらなんで僕や友達には優しくするんだよ！

うそだったとしても、なんでそんなに優しくするんだよ」


何も言わないで目を合わせる吸血鬼に、殺意が湧いた

殺したい、どうせこいつだって吸血鬼だ

ほらどうした、さっき僕の血を吸っただろ

こいつは列記とした吸血鬼だぞ


でもそれを促したのは僕だ


刀があるだろ、すぐそこに

抜けよ

何時でも、殺せるはずだろ


「……なんなんだよ…」


「私は君を知る度に楽しいと思えたよ」


吸血鬼が口を開いた



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