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東堂、真依との再会の後、急いで一年生の元へ向かうと、頭からパンダと狗巻に抱えられた伏黒と、真希、釘崎に遭遇した。
釘崎は全身ボロボロで、伏黒に至っては頭から血を流している。幸いにも家入によってすぐに治療が施されたが、その間釘崎はずっと真依に対して悪態をついていたし、伏黒も好ましくない体験をしたようで、眉を寄せていた。
「突然女のタイプとか聞かれたんですけど」
「あぁ…………なんか、ごめん」
「なんでAさんが謝るんですか」
同じ三年生として、恥ずかしいというか何というか。
曲者揃いの呪術師の中でもトップを走る東堂からの洗礼を受けてしまった伏黒に、申し訳ない気持ちでいっぱいになるAだった。
やがて日は経ち、伏黒や釘崎と買い物に行く約束の日となった。
いつもより少し気合を入れてお洒落をした釘崎は、鼻歌を鳴らしながら待ち合わせである高専入口前へ向かう。
まだ約束の時間まで少しある。まだ誰もいないだろうと思っていたが、意外にも既に伏黒が待っていた。
「随分早いわね?まだ待ち合わせまで時間あるのに」
「そういうお前こそ」
「いいじゃない、楽しみだったんだから。……にしても」
伏黒の頭から足の爪先まで、上から下に観察するように視線を動かす釘崎。
上下共に実にシンプルな服装。伏黒らしいと言えばそれまでだが、それにしたって。
「……アンタさ、もうちょっとお洒落しようとか思わないわけ?」
「買い物行くだけなのに必要か?」
「あー、もういい。多分これ何言っても伝わんないパターンだわ」
「なんなんだよ」
仮にも女子二人と出かけるのだからもう少し気を使ってもいいものではないだろうか、と釘崎はため息をつく。
伏黒がお洒落に無頓着なのはイメージ通りではあるが。
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作者名:JJJ | 作成日時:2024年3月19日 16時