【tkrv】自分の美の価値観が世の中と全然違う件2

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そう、この世界では男性の顔の造形の件は大前提として、身長や筋肉への評価も反転しているのである。

つまり「恵体や筋肉は醜い」のだ。筋肉質で高身長なスポーツ選手はもちろんこの世界にも存在するが、スポーツするからこそ許容される体型で、普段は忌避するべき！みたいな扱いなのである。
あとこういう世界なので、女性に対して「デブ」というのはオッケーなのに対し、男性に対し「デブ」と言うのは禁忌らしい。は？意味わかんねえよマジ。

「何でなんですかねえ…？筋肉ムキムキな方が強くて絶対カッコいいのに…」

そう言うと望月さんも鶴蝶さんも目をパチパチさせて私を見た。不思議な生物でも見つけたかのような視線だった。

「本当に変わってんな…」
「そ、そんなしみじみ言われるとなんか切ないんですけど…」
「滅多に聞かねえ意見だからなぁ」

望月さんと鶴蝶さんが顔を見合わせながらウンウン頷く。ちょっと可愛い。
まあ私も周囲で自分と同じ意見を聞いたことはない。しかし、二人がこれまで連んできた人たちとは違い必要以上に私の意見を否定しないことに安心して、ずっと周りに遠慮して言えずに腹の中にしまい込んでいたままだった意見を口からポロッと溢してしまった。

「んー…だってデブは怠惰でもなれるけど、筋肉は努力しないと付かないじゃないですか。ただ怠けて寝て食うを繰り返すだけで成れるものを持て囃すとか、自分はちょっと『無いな』と思いますね〜…」

そう言ってズズ、と自分で淹れた紅茶を啜る。
が、そう言った途端、場が静まり返ったものだから不安になって二人の方を向いた。
望月さんと鶴蝶さんは目を丸くしたまま私を見ていて、一瞬間を置いて二人で顔を見合わせると、

「「そうだよな！？！？」」

と声を揃え、それはもうキラキラした顔を私に向けたのだった。

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