【tkrv】自分の美の価値観が世の中と全然違う件2

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「へッッッッぐしゅッッ！！！…あ゛ぁ〜」

家に帰って酎ハイ飲みながら飯を食べていると、前触れのないクシャミが。ズ、と鼻を啜るりティッシュで鼻を噛む。
ハウスダストに弱いから掃除はこまめにやってるんだけど、なんでだろ。あ！誰か私のこと噂してんのかナ〜〜！…ま、あり得ないけど。

自意識過剰乙〜笑と自分で自分を笑うと、残りの酒を飲み干して、(肋骨に気を遣いつつ)ゴロリと寝っ転がった。
それから明日の予定をスマホで確認する。

…あ、そういえば明日オフィスにちょろっとだけ上層部の人が顔出しに来るって言ってたな。九井さんがなんか微妙な顔してたのがなんか引っ掛かるけど…。まあ大丈夫っしょ。

そんな呑気なことを考えていた私は、これから一波乱あることなど知る由もなかったのである。

…

翌日。
普通に出社し、普通に業務を始めようとデスクに着いたところで、九井さんに呼び止められた。

「…Aさん。昨日言ってた奴なんだけどさ」
「昨日…？あ、もしかして今日いらっしゃる上層部の方のことですか？」
「ああ。…くれぐれも、くれぐれも！対応に気イ付けろよ…というか言葉も目も交わさないほうがいい…」
「？？…えっ、と…それはどういう…？」

戦場に向かう直前の兵士みたいな真剣な顔で九井さんがそう言うので、私は頭にハテナマークを浮かべて聞き直す。しかし九井さんはそれに首を横に振って、ゲン●ウみたいに腕を組むと絞り出すようにこう言った。

「イカれてんだよ…」
「いかれてる」
「二人組で来る予定で、一人はまあ…多分大丈夫なんだが…もう一人がな…狂人だ」
「そ、そんなですか」
「しかも両者とも顔を見た奴がPTSDを起こすほどの醜男だ」
「そんなことあるんですか！？」

クトゥルフ神話じゃん…と口元に手を添えて、はたと気づいた。え？じゃあ待てよこの世界でそれくらいの醜男って評されるってことは…クソヤベエAPPカンストイケメンなんじゃ…。

「…Aさん、ちょっと嬉しそうにソワソワするのやめてくんね？」
「え？ャ〜…そんなソワソワしてました…？」

そう返すと九井さんに、Aさんってホントブス専だな…と呆れたような顔をされて、「いや私の前世いた世界じゃ貴方達は女性が涎垂らして、下手したら男すらも群がるレベルの美男子なんですよ」とは言えず、タハハ…と適当に笑い返すしかできなかった。

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