【tkrv】自分の美の価値観が世の中と全然違う件2

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そんな中、竜胆から「夢のような女」の存在を聞かされた。だけど。

ありえねえ。そんなの幻想だろ。

心を閉ざしてしまった蘭は、その実梵天の誰よりも自己肯定感が低かった。バケモノだと言われる容姿に加えて、性格も良いとは言えない。寧ろ最悪な部類だという自覚があった。

でもそれを肯定してくれる人間がいたとしたら、それはなんと甘美なことか。
でもそれが本当にただの夢幻のものだとしたら、その時本当に壊れてしまうのではないか。…竜胆も…オレも。

バケモノと言われようが、別にいい。それでオレと竜胆が生きやすい世界が作れるなら。そう開き直ったフリをしていただけで、何かを言われるたびに本当は傷ついていた。だけど傷ついている自分に気づいてしまえば、自分が積み上げてきたものが崩れる気がして、見ないふりをしてきた。

本当は優しくされたい。存在を肯定されたい。でも、そう思っていることを認めたくなかった。
複雑な胸中には蓋をして、竜胆の言う「天使サマ」が幻想だと予防線を張ることで、期待を裏切られた時の自分の心を守ろうとしていた。
だが、自分の心を守ろうとするということは、やはりどこかで「その存在」がいてくれることを求めているということ。

だからこそ、「天使サマ」が梵天の運営する会社に勤めていたと知った時———ああなんだ。やっぱそんな「偶然」あるわけねえンじゃん、と静かに失望したのだ。

偶々出会った竜胆を助けてくれて肯定してくれた人間が、同じ組織で働いている人間だった？…仕組まれてる、としか思えなかった。きっと嵌められたのだと、思った。だって、こんなにも美しい、都合の良い偶然があるわけがないのだから。

勿論、組織の不利益となる人間であるなら、排除しなくてはならない。確かにそうは思った。だけどもそれ以上に、蘭は冷静ではいられなくなるほど、怒りと失望感と…悲しみに支配されていた。

結局、オレらを受け入れてくれるような人間なんざいない。
その事実をまざまざと突きつけられた気がして、居ても立っても居られなくなり、彼女に銃口を突きつけた。
本当なら、もっと段階を踏んで、計画的に化けの皮を剥がしていくことだって出来た。でもそれができるほど、蘭は冷静じゃなかったのだ。

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