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「竜胆お前今日ずーっとボケっとしてっけど、ナニ?どうしたの」

灰谷蘭は昼に合流してから様子のおかしい弟に首を傾げていた。
仕事で取り立てを行う時、家路につく時、飯を食う時でさえ、熱に浮かされたかのようにぼけらと宙を見ているのである。ある種の薄気味悪さすら感じる。

…まさか好きな女でもできたか?
だけども兄弟揃ってこの顔だ。蘭は自分がバケモノなのだと開き直っていたものの、竜胆は気にしいの初心な男である。

しかし仕事の時は気を張って公私を分ける弟が、その仕事の時でさえ口半開きの浮かれポンチみたいな顔をしていたのは何というか…「どうした?」という感想しか思い浮かばなかった。
聞かないでやろう、と兄心で暫くそっとしておいたは良いが、この状態が続くのもいただけねえなあ、と思って聞いてみたのが、冒頭である。

竜胆は問いかけにやはりボーッとしていたものの、ゆっくり蘭の方を向くと呆然と呟いた。

「天使に、綺麗っていわれた…」

…。
…ん?
竜胆の発言に、蘭は笑顔のままピシリと固まり思考停止する。
そして暫くしてから、フーーーー…と長めの溜息を吐いた。もう30年近く連れ添った弟がいきなり電波ちゃん発言をしてきた兄の、次の行動を答えよ。


「…おっけ〜竜胆、お前誰にクスリ盛られた?ニイちゃんに話してみ?」

【答え】コメカミに血管を浮かせてソファの隙間に隠してたチャカ(銃)の準備である。
蘭は激怒した。必ず、弟にクスリを盛ったであろう人間を除かねばならぬと決意した。メロスばりの熱量で拳銃のセーフティをガチャン!と外すと、立ち上がる。
するとその音にやっと我に返ったのか、竜胆はハッとして蘭の腰にしがみついた。

「ちが、違うって兄ちゃん!クスリは盛られてないしそもそもあの子はそんな子じゃ…!」
「あ、あの子〜〜〜〜!?」

竜胆の「あの子」発言に蘭は目を剥いた。

思わず「だ、誰よその女…」と好きな男が別の女と歩いていたのを見つけてしまった女のようなセリフが、蘭の口から飛び出す。
一方竜胆は頬を染めながら、「あ、いや、その」ともごもごモジモジしいる。完全に恋バナを話し始める前の小学生女児のソレだった。いくら血を分けた可愛い弟とはいえ、三十路近い、世間から見りゃ不細工な男の恥じらう姿は結構キツいと思うよ兄ちゃんは。

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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時

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