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屈んだ時は屈み方がまだ良かったおかげか痛みを感じなかったので、スッカリ忘れてた。ピアスを掲げたまま激痛で奇声を上げて頽れた私に、お兄さんは慌てて駆け寄ってきた。
「か、カハ…こ、これぴあす…」
「あ、ああ、ありが…じゃなくて！大丈夫かアンタ！？」
「ひ、ひ、ふ、う、だ、だいじょ、大丈夫です…」
「全然大丈夫じゃないだろ！きゅっ救急車！」
「あっ、いや呼ばなくて大丈夫ですホント…」
蹲ったまま呼吸を整えると段々と痛みが引いてきた。お兄さんはオロオロしていたが、私が「すみません、お騒がせしました」と顔を上げると、「ほ、ほんとに大丈夫？」と聞いてきた。
「何か発作とかじゃ…」
「あ！いや！発作とかではないですごめんなさい。肋骨折れてたのスッカリ忘れて動いちゃったから、それで…」
「ハ！？肋骨折れてんの！？な、何でそんな状態で…」
オレなんかの探し物の手伝いを、と小さな声で言うお兄さん。世の醜男(イケメン)はなぜこうも自己肯定感が低いのか…困ったものである。
私はお兄さんに苦笑いをしながら「すごく困ってたように見えたので」と返すと、お兄さんはキュウ、と切なそうに眉を顰めると「やさしいな…」とまた小さな声で呟いた。
「コレ、さ…オレの兄貴が、誕生日に買ってくれたやつなんだ…だからどうしても、見つけたくて。でも周りの奴らは嫌な顔して素通りしてくばっかで…まあ、当然だよな。オレみたいな酷い不細工に手ェ貸したいって思うやつなんか、いねえもん…」
そう自嘲気味に笑ったお兄さんの声が余りにも哀しげで、心の中の何か柔らかいところが削られるような悲しさを感じた。
…高いモノだから必死だったんじゃなくて、大事な家族からの贈り物だったから必死だったのだ。でも周りの人はそんなことなんて知らずに「醜いから」と通り過ぎていく。それで更にお兄さんは、「自分の顔のせいで」と自分に自信を無くしていく。負の連鎖だ。
「…私は、お兄さんのこと不細工だなんて思ってないですよ。お世辞とかじゃなくて、本当に綺麗だと思います。…あ、ホラ、コレ。アメジストって石のストラップなんですけど。お兄さんの目にそっくり」
自分のカバンにつけていた紫の勾玉のストラップを外し、お兄さんの目の前に翳す。…やっぱりそっくりだ。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (
レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして！めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます！！ (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怪人百面相 | 作成日時：2023年1月6日 15時
