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Aを見送ったあと、会社まで車を走らせながら九井はスマホを操作し、どこかに電話を掛けていた。
「…そ。今日の南側のエレベーターの監視カメラ。その記録見せてくんね？」
その言葉に相手側が了承の声を上げたのを確認すると、「帰ったら確認すっから」と言い残し、早々に電話を切る。
…会社に着いた後の九井の行動は早かった。
先ほど電話を掛けていたのは警備室である。九井は真っ先にその警備室に行くと、録画された監視カメラの映像を確認した。
会社に設置された監視カメラは、いつ諜報員や裏切り者が出て来ても確認や裏が取れるよう、音声も録音できるものがそこかしこに設置してある。勿論、何も知らずに働いているヒラの働き蟻達は、音声まで録られていることなど知る由もない。
ヘッドホンを片耳に当てつつ、機器を操作してエレベーターの様子を確認する。
…来た。
搭乗者の誰よりも小柄で、一見すると少女にすら見える女性がエレベーターに乗り込む。階数のボタンを押したところで、彼女は隣にいた男に話し掛けられた。男の無駄に大きい声は面白いくらい録れていて、九井を「アレ」呼ばわりする様も実にしっかり記録されていた。
いつものことだ。このくらいのことは九井にとって日常茶飯事である。だが、高性能なカメラは男の言葉に彼女の顔が曇っていく様をよく捉えていた。
彼女が男に言い返す。男の方はあの顔立ちだ、今までさぞ世間からはチヤホヤされてきたのだろう。無駄に高くなったプライドをズタズタにされて真っ赤になって震えている。そんな男に彼女はなおも果敢に言い返していた。
『九井さんは貴方みたいな下卑た方よりも礼儀は弁えているし、仕事だってできて、すごくカッコイイです。だから私には、貴方の方がよっぽど不細工で最悪な人間に見えますよ』
…その言葉に、九井は少し泣きそうになった。
彼女は音声記録つきのこのカメラのことなんか一つも知らない。だからこれは心の底から言っていることなのだ、と思うと本当に、本当に嬉しかったのだ。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (
レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして！めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます！！ (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怪人百面相 | 作成日時：2023年1月6日 15時
