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私は九井さん直属の部下だ。そう、“上層部”の人間の“直属”の部下である。対してコイツはどうだろう。社員証を見る。…ウン、営業部の平社員だな。役職書いてねえもん。
じゃあ、多少失礼な感じで言い返しても、クビにも降格にもならないんでは？結局こういうので恐ろしいのは、言い返した相手の立場が上だった場合被る、社会的地位の落下である。あと給与減額とか。
色々黒い思考が巡る間にもクソブス営業マンは見当違いの「かわいそう(笑)」を連呼している。
「あ、ねえ連絡先交換しようよ(笑)オレでよかったらアレの愚痴、聞いたげるからさ…(笑)」
…これに最後の堪忍袋の尾が切れた私は、男の方を一瞥してなるべく感情を声に乗せないよう口を開いた。
「お断りいたします。貴方に教える連絡先なんてありませんので」
「え？」
「大体、社会人としての意識が些か足りない方と知り合いになんてなりたくありません。上司を呼び捨て、剰え『アレ』呼ばわりだなんて。同じ会社の人間としてとても恥ずかしいです」
「なっ…はっ！？」
固まる営業男に、私の怒りのマシンガントークは止まらない。餌待ちの鯉みたいに口をパクパクさせながら何かを言おうとする男に私は続ける。
「九井さんは貴方みたいな下卑た方よりも礼儀は弁えているし、仕事だってできて、すごくカッコイイです。私には、貴方の方がよっぽど不細工で最悪な人間に見えますよ」
ハン、と鼻で笑ってやると営業男は顔を真っ赤にしてブルブル震えた。それを見てからまたフン、と鼻を鳴らしてそっぽを向く。
周りの人は、オロオロしたり信じられないものを見るような目で見ていたりと様々だが、仲裁に入ったりする人はいない。巻き込まれたくないが故の事なかれ主義が染み付いた、日本人らしい反応である。
チン、とエレベーターが開く。階は20階だった。
まだ20階か、と思った、その瞬間である。
「っわ！」
突然ドンッと何かに押されてバランスを崩して前に出た。ギリギリエレベーター内から出なかったものの、はっ？と思って後ろを振り返った。
「少し優しくしたらつけ上がりやがって！」
「い゛ッ…！！」
…が、振り返ったのとほぼ同時にそんな汚い怒声が聞こえ、脇腹を思いっきり蹴り飛ばされた。
私はその衝撃でエレベーターの外へと飛び出てしまったのだった。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (
レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして！めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます！！ (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怪人百面相 | 作成日時：2023年1月6日 15時
