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「…鶴蝶だ。大体24階のオフィスにいる。よろしくな」
そう言って、不安の混じった照れくさそうなぎこちない笑顔で笑う鶴蝶さん。
ウン、素顔はやっぱりバリッッバリッのイケメンだった。俳優とかやってますか?って言いそうになるのを既のところで止め、「ハイ!よろしくお願いします」と元気よく返事した。返事だけは良いってカーチャンのお墨付きだぜ。
「…本当に、普通の反応してくれるんだな。オレたちの顔を見ても」
少し切なげに言う鶴蝶さんに、私は少しモヤっとした。
別に気を遣ってそういう反応を心がけているわけではないのに。まあそう思われるのも無理ないのがこの世界なんだよな。あーーーもーーほんと。一回滅んだほうがいいよ世界。
でもホントにカッコイイと思ってるし。見た目で態度変えるのだって間違ってるし。人として当たり前のことをしてるだけだし。何だよくわからないモヤモヤに襲われて、少し俯く。
「…だって、嫌だと思う理由がありませんし。私はカッコいいと思います、お二人とも」
モヤモヤからくる謎の苛立ちから来た呟きが、普通よりも少し広いエレベーター内に響く。ハッとして「やべ、流石に態度悪すぎた!?」と二人を見ると…
「ぁ〜…も〜…」
「…」
顔が真っ赤になっていた。九井さんなんか、頭を抑えて溜息までついて「…人たらしめ」とか言っている。二人とも本当に褒められる耐性が無いのだなと思った。
「ていうか九井さん人たらしって何ですか!私のどこにそんな要素ありました?!」
「…サラッとああいうこと言っちゃうところ。そんなだから変なやつに付き纏われるんだぞ」
そう言われてしまいウッと詰まる。友達にも似たようなこと言われたことあったから。
「…ほんとのこと言っただけなのに…」
「〜〜っ、だからそういうトコ!」
「ぶは、」
またも顔真っ赤の九井さんがワッと吠えたところで、鶴蝶さんが吹き出しそのまま「ハハ」と声をあげて笑い始めてしまった。
「わ、悪い。ハハ、そっか。…そっかあ」
笑って目を細めたまま、鶴蝶さんが私を見る。その表情は先ほどのぎこちない笑みではなく、少し泣きそうな、それでいて柔らかく優しい笑顔だった。またしても心臓に悪い笑顔を浴びた私は、案の定脈拍がおかしくなって、ドキィ!と不自然に一瞬脈が飛んだ。
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Kyoro丸。(プロフ) - 超面白いですね(笑)主人公の性格が癖強くて好きです(笑) (2023年2月11日 13時) (レス) @page13 id: ea6fdef67d (このIDを非表示/違反報告)
icchy(プロフ) - はじめまして!めっちゃおもしろくてハマりました✨是非どんどん続編期待してます!! (2023年1月9日 21時) (レス) id: 1c7a9fb991 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怪人百面相 | 作成日時:2023年1月6日 15時