野 球 部 の 君 ― 2

♯・ ページ26

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『真司郎、早く帰ろう！』

與「うっさいねん」




Aは大きな声で言うから
皆に聞こえて恥ずかしい。


ほんまは嬉しいけど。




照れ隠しのつもりで
ぶっきらぼうに言葉を言い放つ。


ほんまにごめんな？






俺がAに冷たいから
俺が無理矢理付き合ってるらしいって。


噂のせいで、Aが悪く言われてること。



Aが隠してるつもりやけど
全部分かってんねんで？


原因は素直やない、俺が全部悪い。





俺達に進展は何も無くて。




恋人繋ぎも、キスも、何もできない。


宇野ちゃんと千晃と事故であるけど
Aとのキスは一回もしてへん。




一回手を繋いだことはあるけど
その時は付き合ってなかった。



全部、俺のせいやねん。





金曜日は俺ん家に来るんやけど。



與「………今日来るん？」




恥ずかしすぎて
冷たく言い過ぎたかもしれん。




『………今日はいいかな』

與「………なんかあるん？」


『塾が今日に変わって………』




Aが嘘をつくときは
耳を触る傾向があることは知ってた。



宇野ちゃんと同塾らしいから
金曜日は毎回聞いてんねん、塾があるか。





宇「だから、金曜は無いって！」




毎回同じ台詞を言われるんやけど。


一応確認で聞いたら
今日も同じ台詞で睨まれた。




毎週金曜は、唯一野球部の休みの日。







Aは飽きてきたんかな。


優しくなれんことに
Aは呆れてきたんかもしれん。





本当は、こんなに好きやのに。







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