野 球 部 の 君 ― 2

♯52 ページ22

***




全員が幸せにはなれないのか。


想いが通じ合っても
誰かが邪魔をしてくるんだ。




西「Aちゃんが決めたなら、俺は応援するよ」

『………ごめんね』




自分の気持ちを考えて
西島君に素直に話すことにした。


西島君は受け止めてくれて、最後まで優しい。




それなのに、それなのに。





千「真司郎が好き、私と付き合って」



放課後に約束の屋上で
重たいドアを開けようとしたら。


小窓から見える、シルエットがふたつ。




與「千晃、秀太ちゃうん？」

千「一番支えてくれたのは、真司郎だった」



千「それに気付いて、好きになってた」




こういうのは待つべき？



私も急な衝撃が舞い降りて
頭が全然ついていかない。




廊下に響き渡る、虚しい足音。


教室に戻ってみても
二人の荷物は置いてなかった。




家に帰ることも面倒だから
教室で塾の宿題をすることにした。





千「………A」


『千晃………』




千「真司郎待ってるよ、行ってあげて」

『………』




千「告白見ちゃったんでしょ？」

千「でも、振られちゃったよ」







.








.









“ 俺、付き合いたい奴が居んねん ”







.

♯53→←♯51

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す