野 球 部 の 君 ― 2

♯32 ページ2

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『部活が終わってる時間なのに……』

與「ほんまに寒い」




與君は本当に寒いようで、目を細くしている。




『薄着だからだよ』

與「……手貸して」



與君は手を差し伸べてくるけど
彼の声が小さすぎて全然聞こえなかった。




與「手を貸せ、言うとるやん………！」

『はいっ！』




與君は私を睨みながら、私の手と恋人繋ぎをしてきた。




『與君、最近変だよ？』

與「は？」


『あんなに嫌ってたのに、なんで？』




彼は気まずい顔をして、ボソッと言い放った。




與「お前が頭から離れんくて」

與「………嫌いやから？」


『………』





いつも一言余計な與君に腹が立つ。

與君は期待させといて、傷付く言葉を言うから。



與君は私を意識してるわけでもないのに
少し期待してる自分も腹立たしい。




與「おいっ！」

『そのまま嫌ってくれたら、私は諦められるよ』





『今日は無理して待ったり、』

『手を繋いだりしてくれてありがとう』




與君から手を離して、私は逆方向に走っていく。






與「こんなん言うたないのに………っ」

與「思ってへんのに………」





與「好きって言うて決めたやん、俺………っ」





與「Aっ！」








不器用な私達が、交わることはない。






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