♯46 お出かけ編 ページ49
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今日は学校がおやすみ。休日は10時起床が当たり前の私は、まだ夢の中にいる………………はずだったのに。
「さ、どこ行こっか夕凪さん」
何故か赤羽くんとショッピングモールに来ています。
「眠い……」
「よし、服屋行こっか」
赤羽くんにズルズル引きづられて、半分寝た状態でいると、とってもオシャレなお洋服屋さんの前にいた。
「赤羽くんお洋服買うの？」
「え？夕凪さんのに決まってんじゃん」
「なんで」
「夕凪さん、自分のファッションセンス分かってる？」
そう言い赤羽くんは私を上から下まで凝視する。
今着ているのは、ぶかぶかのTシャツとデニムの短パン。適当にタンスから出したものを着ている。
「普通じゃない？」
「服のロゴが普通じゃないと思うよ」
「………」
着ているのは兄さんのお下がりで、大きく『YAKINIKU』と書かれている。こんな感じのやつ、みんな着てるし私は変とは思わないけどな。
「とにかく。もっと可愛いやつにしよ、夕凪さん」
「めんどくさい」
「レッツゴー」
やっぱり赤羽くんは私の話を聞いていない。こんなことになったのも、全部兄さんのせいだ。
今日の9時前、兄さんが忘れ物をしてしまったので、お母さんにそれを届けてほしいと頼まれた私。お父さんは仕事の付き合いでゴルフに行って、お母さんも手が離せないし、近場の駅だからと行かされてしまった。
兄さんは駅にいたけど、忘れ物は必要なかったものらしく、私は無駄に歩かされた。
その帰りに偶然散歩をしていた赤羽くんに見つかり、『お出かけしよ♡』と誘われ、あれよあれよという間にこんなところまで来てしまった。
お家もバレたし最悪だ。
「夕凪さんはピンクと青どっちがいいと思う？」
「紫」
「選択肢にないもの出すのやめよ」
赤羽くんはさっきから女性用服売場をウロウロしている。周りから見れば完全に変な人で、私は椅子に座ってそれを見ている。
「ワンピースもいいけど、ジーンズとかでもよくない？夕凪さん、足細くて綺麗じゃん？」
「めんどくさい」
「えー」
既にいくつかの服を手に持っている赤羽くん。何が面白いんだろ。
「よし。夕凪さん、これ試着して」
「めんどくさい」
「はいはい行くよ」
「……む」
赤羽くんに引っ張られて、無理やり試着室に入れられた私。「着替えるの手伝おうか？」とか言うもんだから、大人しく試着することにした。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
