♯45 ページ48
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お昼休み。今日は珍しく有希子ちゃんとお弁当を食べている。
「心花ちゃんのお弁当、可愛いね」
「そう？」
「うん。なんていうか、心花ちゃんっぽい」
私のお弁当はハート型の卵焼きにたこさんウィンナー、パンダの顔したおにぎり、そして大量に刺さった動物のピック。お母さん、こういうの好きだから小さい頃からお弁当の中身がまるで変わってない。
「有希子ちゃんのお弁当はお上品だね」
「そうかな？」
「うん」
すると窓側に人が集まっていることに気づく。私と有希子ちゃんはお弁当を食べる手を止めて、窓に近づく。
「烏間先生に近づいていく女が1人。殺る気だぜ、ビッチ先生」
木の下にいる烏間先生と、近づくイリーナ先生。イリーナ先生は烏間先生のところに行くと、上着を脱いだ。
「色仕掛けは無理だよな？」
「ああ、さっきやったけど散々じゃなかったか」
「先生……」
多分これが失敗すれば、先生のご師匠さんが先に烏間先生を殺す。それはイリーナ先生がいなくなることを意味する。
頑張ってほしいな。そう思っていると、イリーナ先生は木の後ろを回ってワイヤーを引いた。
「……！」
上着に隠れてワイヤーが見えなかった。先生が上着を脱いだのは、色仕掛けのためなんかじゃない。
ワイヤーが烏間先生の足を取り、体勢を崩す。そこをついて、イリーナ先生は烏間先生の上に乗った。
「烏間先生の上を取った！！」
「やるじゃん、ビッチ先生！」
イリーナ先生はナイフを降ろすが、烏間先生はそれを止める。しかし最後は諦めたようにその手を離し、ナイフは先生の胸に当たった。
「当たった！！」
「すげぇ！！」
「ビッチ先生残留決定じゃん！」
教室では勝負に勝ったイリーナ先生へ拍手が送られる。
先生のご師匠さんも、イリーナ先生のことを認めてくれたみたいで、その場を去った。
「良かったね、心花ちゃん」
「うん」
まだまだイリーナ先生は、私達の教師だ。
高笑いしていた先生だけど、窓辺に立つ私達を見ると、ずんずん近づいてきた。私は何故か反射的に窓を開けた。
「心花」
「先生」
「………………次の授業からは、あんたは特に発音も注意してるから。せいぜい私のテクに溺れないように、覚悟してなさい」
先生はそう言い、私の鼻をむぎゅと押す。……私もちゅーはしたくないから、授業頑張ろ。
「………先生」
「なに？」
「…………Merci, faisons de notre mieux à partir de maintenant」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
