♯41 ページ44
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「どう考えたって邪魔だろうが、常識くらい身につけてから殺しに来いよ、ポンコツ」
朝来ると、自律思考固定砲台さんは寺坂くんによってガムテープでぐるぐる巻きにされていた。可哀想だとは……思わない。今回に関しては、寺坂くんが正しい。
授業の妨害、その片付けはしない、せんせーを殺すことだけを視野に入れたただの
その日一日、自律思考固定砲台さんは殺せんせーの射撃をすることは出来ず、大人しくしていた。
「今日も帰るの？」
「もちろん」
「そっか」
今日も私は赤羽くんと帰路に着く。今日からはまた新しい小説、ホラーサスペンスもの。
「あ、それ知ってる。映画になったやつでしょ」
「そうなの？」
「ちょっと前にね。夕凪さん見た？」
「見てない」
「じゃあ今度DVD借りて一緒に見よ、俺の家で」
「や」
「えー」
赤羽くんは全然残念そうじゃない。いつもみたいにニコニコ笑ってる。
「………映画、あんまり好きじゃない」
「そうなの？」
「おっきい音、びっくりするから苦手」
「へぇ、そっかぁ〜」
赤羽くんはまた笑う。でも、ちょっと意地悪そうに。
「じゃあ夕凪さん、雷とかも苦手？」
「……好きじゃない」
「お化け屋敷とかは？」
「ワッてなるからや」
「ふーん……他に苦手なものある？」
「なんで？」
「好きな子のことは、全部知りたいじゃん」
……そういえば赤羽くん。イタズラ好きだったよね。もしかして私、イタズラの種自分からあげちゃったのかも。
「教えない」
「えー。じゃあさ、好きなものは？」
足が止まった。文を追う目も止まった。
変わらず歩いていた赤羽くんも、私に気づいて少し前で振り返る。
「夕凪さん？」
「………………」
好きな、もの……私の、好きなもの……。
「…………ごめん、答えにくかったらいいよ」
「え……」
「俺も無理に聞かない。それにいつか絶対知ることになるし」
「なんで」
「え？だって俺と夕凪さん、夫婦になる運命だから」
「………………」
いつも別れる信号のところまで、心持ち速く走った。赤羽くんは最近、変人度が加速してきている。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
