♯40 人工知能の転校生編 ページ43
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修学旅行も終わり、今日からは普通の学校生活に戻るのだが、今日は少しだけ違う日。烏間先生からみんなへ送られた一斉メールの内容が、転校生の内容だったからだ。
「転校生ってどんな子だろ〜」
「うん」
「夕凪さんみたいにながら読書する人じゃないといいね」
「赤羽くんみたいにどこでも話しかけてくる暇人じゃないといいね」
時間はホームルーム。普通なら、先生の紹介があって教室に入ってくるんだろうけど。
「みんな、既に知ってると思うが…転校生を紹介する。ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ」
「皆様、よろしくお願い致します」
大きな金属製の箱。その画面にはピンク色の女の子が映っていた。最初は冗談かと思ったけど、烏間先生の反応を見る限り、本気だ。
「彼女はれっきとした生徒として登録されている。彼女はあの場所からずっとお前に銃口を向けるがお前は彼女に反撃できない。生徒に危害を加えることは許されない。それが、お前の教師としての契約だからな」
一時限目は古文。ホームルームの挨拶から自律思考固定砲台さんは動かない。みんな後ろの存在が気になっていた時。
いきなり自律思考固定砲台さんから4丁の機関銃が取り出された。BB弾だが、普通の人なら一瞬でお陀仏の量の弾丸の雨がせんせーを襲うが、いつも通りに華麗に避け、チョークで弾を弾く。
「授業中の発砲は禁止です」
「気をつけます。続けて攻撃準備に入ります」
「えっ」
自律思考固定砲台さんはまた射撃を始める。見た感じさっきと変わらない銃撃。これなら殺せんせーは交わし切ると思った時、せんせーの触手が一部溶けた。
「死角……」
1度目の射撃は、せんせーの攻撃回避パターンを知るため。わざと2度目の射撃の軌道も同じにし、せんせーが弾く時に作られる死角に対せんせー用銃弾を打った。
……自律思考固定砲台さんは、自分で学ぶAIタイプの機械だ。
「左指先、破壊。増設した副砲効果を確認」
ターゲットの防御パターンを学習し、その都度プログラムと武装を改良。敵の退路をじわじわと狭めていく。
「次の射撃で殺せる確率、0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確率、0.003%未満。
＿＿卒業までに殺せる確率、90%以上」
「………」
結局その日丸一日、自律思考固定砲台さんは殺せんせーへの射撃を止めなかった。各授業終了後、みんなでBB弾の掃除をした。腰が痛い。
この日のあの機械への不安は、一日にしてMAXまで溜まった。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
