♯35 ページ38
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一方の男子部屋。
既に入浴を終えた男子達によって、『気になる女子ランキング』が作られていた。
「やっぱ1位は神崎だよな」
「まぁ嫌いな奴はいないよな」
上から順に神崎、矢田、夕凪、倉橋、茅野の名前とその隣に簡素な理由が書かれていた。
「んで？上手く班に引き込んだ杉野はどうだったん？」
「それがさぁ、色々トラブルあってさ。ゆっくり話す時間がなかったわ」
「あ〜、なんか大変だったらしいな」
班員が拉致られたとなっては、穏やかな空気で過ごすのは難しかっただろう。それに時間もだいぶ潰れたのも原因の一つだ。
「気になるのは、誰が誰に入れたか…だよな」
「俺は1人に決められないんだよぉー！」
「岡島はいいから」
「渚、お前は誰に入れたんだよ」
「え、ぼ、僕は…」
「そういう前原こそ、誰に入れたんだよ」
「俺か？そいつは言えねぇな」
「腹立つ！お前みたいなやつがモテてるかと思うとまた腹が立つ！！」
そこへ襖が空いたかと思うと、自販機へジュースを買いに行った業が戻ってきた。
「お、面白そうなことやってんじゃん」
「業、いいとこにきた」
「お前、気になる子いる？まあ聞かなくてもわかる……」
「俺は奥田さんかな」
業が言った一言に全員声を出して驚く。それもそうだろう、普段あれだけアピールしている彼女の名前が出ないのだから。
「だって彼女怪しげなクロロホルムとか作れそうだし、俺の悪戯の幅が広がるじゃん。夕凪さん専用の惚れ薬とかも作れたりして」
「絶対くっつかせたくない2人だな…」
「じゃあ夕凪はなんなんだ？」
「ん？夕凪さんは将来の俺の奥さんだから。気になる人じゃなくて、運命の人ね」
「うっわ、重…」
まだ付き合ってすらない相手に対し、これまでの言葉が出るのがいかにも業らしい。しかし、これを聞いた心花が特に反応を示さないのは容易に想像できる。
「つかさ……」業は3年E組制作の『気になる女子ランキング』の紙を見ると、グシャとシワを作った。
「夕凪さんに3人入ってんだけど。誰がいれたの？殺すよ？」
「いやあくまで気になる女子だし……」
「それになにこの“着痩せしてるけど案外胸大きい”って。誰が書いたの？」
「おおおお、落ち着け業！」
「つか、ここに書いてるってことは全員納得したってこと？なにそれ皆殺し」
今にも暴れだしそうな業を抑えながら、襖の方を見ると、顔をピンクにした殺せんせーが何やらメモをとっていた。
ピシャリと閉められた襖が、男子の雪崩によって開くのはあと3秒後。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
