♯26 ページ29
.
みんな新幹線に乗り込み、出発もしたというのに殺せんせーの姿がどこにも見えなかった。その殺せんせーはというと、新幹線の窓にへばりついていたのだ。
「いやぁ疲れました、目立たないように行動するのも大変ですねぇ」
「そんなくそでかい荷物持ってくるなよ」
「ただでさえ殺せんせー目立つのに」
「てか、外で国家機密がこんなに目立っちゃやばくない？」
疲れた様子の殺せんせー。でも岡島くんの言うように、荷物もうちょっと減らせばよかったのに。
するとせんせーが変装用につけている鼻が変だという意見が飛び交う。
「殺せんせー、ほら」
「おお、すごいフィット感！」
「顔の曲面と雰囲気に合うように削ったんだよ、俺そういうの作るの得意だから」
せんせーが新しく着けた鼻は、さっきよりかはいくらかマシになっていた。菅谷くんは手先が器用みたい。
「旅行になると、皆のちょっと意外な一面が見られるね！」
「うん。これから旅の出来事次第でもっと皆の色んな顔が見れるかも」
ちょっとだけ楽しみにしていた修学旅行。なんだか幸先いいし、もうちょっと楽しみになった。
「ねえ、みんなの飲み物持ってくるけど何飲みたい？」
「あ、私も行きたい！」
「私も〜！」
「えっ……じゃあ私も」
みんなでトランプをしている時、有希子ちゃんの提案に愛美ちゃん、カエデちゃんが乗った。一人残るのは寂しいので私も行く。
「それでさ〜」
「わっ、」
「有希子ちゃん大丈夫？」
「う、うん……ごめんなさい」
自動ドアを出た先に大柄な人がいて、有希子ちゃんはたまたまその人にぶつかってしまった。顔ちょっと見たけど、多分怖い人。私も3人も顔を下げてその人の前を通り過ぎた。
「あれどこ中よ」
「多分椚ヶ丘だな」
「へぇ。頭のいい坊ちゃん嬢ちゃんばっかのとこじゃん」
「だけどよぉ、イケてなかった？特に白い子」
「ああ。あの子達に、京都でお勉強教えてやろうぜ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
