♯24 ページ27
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『おはよ、夕凪さん』
「うん」
『ねぇ、テレビ通話しよ』
「めんどくさい」
今日は修学旅行の日。さすがに今日ギリギリはダメだと思うから、早めに起きた。
スマホを開くと、赤羽くんからの通知でいっぱいだった。なので、電話をかけた。
「やっぱり教えない方がよかったかな」
『ん？なぁに？』
「なんでも」
修学旅行の詳細を決めたあの日。帰り道で赤羽くんに連絡先を聞かれた。「修学旅行で迷って連絡できなかったら困る」からと。そこで納得した私は電話番号やらQRコードなどを教えてしまったわけだが……。
その日の夜から赤羽くんからの通知が止まない事件が起きてしまった。読書してる時も来てたから、30分くらいブロックした。
「もう出るから切るね」
『はーい。あ、俺あの信号の所で待ってるから。途中で一緒に行こ』
「いいよ。バイバイ」
彼からの大量通知ももう日常となってしまった。慣れって怖い。
電話を切った私は昨日のうちに準備していた大きな荷物を持って、玄関に向かう。
「あら珍しい。ちゃんと起きれたんだ」
後ろからお母さんが手に何かを持って歩いてきた。
「うん。今日は、」
――「修学旅行の班、夕凪さんと一緒になれて嬉しかったの。お友達になれるかなって」
「ちょっと楽しみだから」
「へぇ？」
お母さんはニヤニヤしながら「それは良かった」と私の手を掴んだ。そしてずっと持っていたであろう、御守りを置いた。
「楽しんできなね。でも公共ルールは守るのよ。それから事故に気をつけて。笑顔で帰ってきてくれたら、お母さんそれだけで嬉しいから」
「うん……」
「お兄ちゃんみたいに、ホテルから抜け出して先生に怒られたり、木刀10本も買うのはダメよ？心花はそんなこと今までなかったから、心配してないけど」
「うん……」
「……そんな顔しないの！お友達と楽しんでおいで！ちゃんと御守りもあるんだしね」
私は息を吸うと、顔を上げてお母さんに伝えた。
「お母さん」
「ん？」
「嬉しいけどね。この御守り…………安産祈願だよ」
「あら？？？」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
