赤羽くんと夕凪さん【暗殺教室】 (ページ21)

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♯19 ページ21

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「……あの頃からずっと、分からなくなったから」

カラスはもう鳴かない。影が少しずつ薄くなっていく。

「昔は勉強するの、好きでした。知らないことを知るのは好きでした」

模試の結果の通り、好きなものは得意になっていった。友達も家族も、当時の先生もいっぱい褒めてくれた。

だけどそのうち…………。

『将来安泰だね』
『将来はどうするの？』
『そろそろ将来のことちゃんと考えなさい』

「将来も何も、なかったんです」

なりたいものもやりたいことも、特になかった。そう気づいた時、分からなくなった。
私は何の為に知識を得ているのか。何の仕事に就きたくて学んでいるのか。

「周りが少しずつ先のことを決めていく中で、先生たちが焦らせてくる中で、私は何をすればいいのか分からなくなって」

あれだけやっていた勉強も、何の為にしているのか分からなくなって、いつしかペンが動かなくなっていた。

「知れるなら、私も知りたいですよ」

「……………………」

「話が終わりなら帰ります。ありがとうございました」

私はバッグを持つと、ドアに手をかけた。

「それと、」

せんせーはさっきの椅子から動いていなかった。

「一年の時の模試、シュレッダーにでもかけといてください」