♯9 ページ11
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起きたらびっくり。ホームルーム開始5分前でした。
急ごうとちょっとだけ早足で学校に到着。
「せんせー来てるかな……」
ガラッと教室のドアを開けると、自分の席に座るクラスメート、教卓の前に立つ奥田さん、そしてスライムみたいにドロドロになった……殺せんせー。
「にゅっ！？夕凪さん、遅刻ですよ！」
「せんせー……」
「はい？」
「………………キモイ」
ガーンと自分で効果音を出したせんせー。見ると、近くにフラスコがあった。もしかして奥田さんが昨日せんせーと作った毒薬なのかな。
「夕凪さん！先生に向かって、きっ、キモイなんて……！」
「じゃあ不気味」
「なーー！？これは、先生の細胞を活性化させて流動性を増す薬なのです！」
ピチャピチャと音を出しながら、せんせーは私のバッグの中に入る。
「液状故にどんな隙間にも入り込むことが可能に…！」
「濡れるから早くどいてよ、せんせー」
せんせーに触ろうとすると、ぬるりと交わし、バッグを出る。
「しかもスピードはそのままに！！！さぁ、殺ってみなさい！！」
教室の中を暴れるせんせー。サイズが小さくなったから、余計に目で捕えることも難しくなっている。
「奥田さん！あの毒薬って！！」
「だ、騙したんですか！？殺せんせー！」
「奥田さん、暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」
「国語力…？」
せっかくの特製の毒でも、バカ正直に渡せば、相手はそれを利用する。そのためには、相手を上手く欺く国語力も必要。殺せんせーはそう言った。
「君の理科の才能は将来みんなの役に立てられます。それを多くの人に分かりやすく伝えるために、毒を渡す国語力も鍛えてください」
「は、はい…ッ！」
一件落着したところで、私は自分の席に着く。
「…みんなやっぱり、暗殺以前の問題だね。
夕凪さんおはよ、今日も世界一可愛いよ」
「赤羽くんは今日も宇宙一暇人みたいだね」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年8月15日 22時
