▶︎ ページ7
.
No side
「ジャミル、無事？」
「ヴィル先輩！これは一体、なにが起こっているんですか？さっきの警報と振動は？」
「話は後よ。とにかく他のメンバーも脱出させましょう」
同じように部屋から脱出したジャミルは、大きな動揺を見せながらも、沈着としているヴィルの後ろに続く。
＿＿＿
＿＿
＿
Lou side
「っ……！？」
ベッドで仮眠を取っていた俺は、嫌な空気に目を覚ました。室内にはそれはない。しかしドアの外から確実に感じる。
起き上がり、ドアに手をついた瞬間、部屋の電気が消え、それと同時に魔法封じのチョーカーがいとも簡単に、俺の首から外れた。
「どういうことだ……？」
何か異常事態が起きている。一刻も早く部屋を出ようと、魔法をぶっ放そうとした時。
「ルウ、聞こえる？」
「ヴィル？」
「少しドアから離れて頂戴。すぐに出すから」
俺がドアから離れると、何かが溶ける音がした直後、ドアを蹴破ったヴィル。そして他の4人も揃っていた。
「これで全員ね」
「この一番奥の部屋、誰が入ってたんだ？どことなく嗅いだことがある魔力の匂いがするような……」
「わからない。アタシが外に出た時、すでにドアが破壊されていて部屋の主の姿は見えなかった」
「防魔素材が使われたドアを吹き飛ばすとは。かなりの魔法の使い手でしょうね」
「他の被検体が俺たちのように理性がある状態とは限らない。警戒しよう」
部屋を出て、彼らが目を向ける部屋を俺も見る。たしかに、どこか感じたことのある……いや、ずっと隣にあった気配がした。
「脱走した被検体の行方も気になるけど、それより……」
「ええ。さっきからあたりに漂っている、この瘴気……」
「間違いねぇ。高濃度のブロットだ」
「こんなに濃いのは久しぶりだな」
「……まさか、1万体以上のファントムが収容されているという『タルタロス』で問題が？」
「可能性はありますね」
「あまり吸い込みすぎるとよくない。チョーカーが外れて魔法が使えるようになってるし、魔法防御力の高い寮服に着替えましょう」
俺も人間時の服に着替えた。寮服程ではなくとも、これも魔法使用に便利な衣服だ。
「『S.T.Y.X.』に押収されたマジカルペンも召喚できました。こんなにあっさり取り戻せるなんて、なにかが起こっているのは間違いないですね」
アズールの言葉に俺も額にある、魔法石へと触れる。おかしいことばかりだと、感じていた時。
「＿＿半径10ｍ範囲内にて、魔力反応を感知。ターミネーションモード起動」
「！？なに！？」
「対象を確認。直ちに排除します」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紅葉 | 作成日時：2023年4月2日 9時
