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「はっ！！『タルタロス』内部の通過センサーに、被検体Fのウェアラブルデバイスの通過ログがあります！」
考え込んでいると、1人の職員が叫んだ。
『タルタロス』……ファントムを収監している場所。そんな危険な場所に、たった1人でグリムが……。
「どうやって……そうか！『ケルベロス』のセキュリティがオフになり、以降『タルタロス』への出入りが自由になっているから…ログによれば、緊急事態発生直後に『タルタロス』の門をくぐったようです」
「しかし、なぜそんなところに？」
「オルトクンが言ってたけど、『タルタロス』ってすごく危険なところ……なんだよね」
「ああ。ファントムが1万体以上収容されている収容所だからね。しかも、今は凍結システムがオフにされている。いつファントムたちが動き出してもおかしくない」
「そんな……！」
ファントムが1万体以上……そんなのブロットがありえないほど濃くて…………大量のブロットの結晶もあるに違いない。グリムは多分、それに誘われたんだろう。あの暴走状態で。
「グリムの居場所がわかってよかったじゃない。しかも『タルタロス』にいるなら都合がいいわ。『冥府』まで降りる途中で、ついでに拾っていくわよ」
「「「「「！？」」」」」
ヴィル先輩は当たり前のように、爆弾発言を落とした。それは顔を暗くしていた職員全員を驚かせるには、十分すぎた。
「む、無茶だ！そんなの危険すぎる！」
「だって、イデアもオルトもそこにいるんでしょう？あいつらの世界リセット計画を止めたいのなら、危険だろうがなんだろうがそこまで行くしかない」
「……はぁ。確かに、それしか道はないでしょうが……」
「随分と気軽に言ってくれる……」
アズール先輩もジャミル先輩もやれやれと言った口調で言うが、特に反対の意は見せない。彼らも、『冥府』へ行くつもりだ。
「待ちなさい。君たちはまだ魔法士免許も持っていない学生だろう！？今、この危機的状況に必要なのはアマチュアの魔法士じゃない。プロの
「ここまで来て他人任せ？随分と無責任じゃない。何もできないからってそれを言い訳に使うんじゃないわよ」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年4月2日 9時
