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「あっ、ああそうだ！みなさん、グリムがどこにいるか知りませんか？」
シュウから目を逸らした私は、連れてこられた6人に聞いた。本来の目的はこれだもんねっ！うん！！！
「グリム？彼も嘆きの島へ連れてこられたのかい？」
「はい。ヴィルサンが連れ去られた後に、捕まってしまって……。皆さんと一緒にいるものだとばかり思っていたんですが」
みんなと合流した時にグリムと必然的に会えると思っていた。しかしその思惑は外れ、グリムはこの場所にいなかった。
「この島に来てから、検査のときも、それ以外でも、一度もグリムさんはお見かけしていませんね」
「…………待てよ」
ーーー
「この一番奥の部屋、誰が入ってたんだ？どことなく嗅いだことがある魔力の匂いがするような……」
「わからない。アタシが外に出た時、すでにドアが破壊されていて部屋の主の姿は見えなかった」
「防魔素材が使われたドアを吹き飛ばすとは。かなりの魔法の使い手でしょうね」
ーーー
「もしかして、俺たちより先にドアをぶち破って脱走した被検体ってのは……あの毛玉か？」
「あの気配……たしかに覚えはあった。その可能性も捨てきれない」
レオナ先輩は思い当たる節があるらしく、思い出しながら言った。ルウにも覚えがあるらしく、これの意見に賛成している。
「まさか！グリムはうちのエースやデュースに比べても、魔法の腕が未熟なはずです。それなのに、ボクたちでも破るのが難しい防魔素材を使ったドアを吹き飛ばせるわけがない」
リドル先輩は2人の意見に対し、否定的な意見を述べた。たしかにいつものグリムなら、あの頑丈な作りのドアを壊すことなんて出来ないだろう。
だけど……暴走した状態なら……？あの夜のように、獣と化したグリムが暴れたとすれば、力づくでもドアを破れたはずだ。
「グリムになにが……」
私は包帯の巻かれた右手を無意識に左手で撫でた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年4月2日 9時
