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No side

「僕らはブロット負のエネルギーを生産し続けないと、生きてるだけでMPが消費されるデバフがかかってる。溜まったブロットがすぐに焼却されるだけなら、シュラウド一族は全員陽気でハッピー&マジカルパワー炸裂のヒーロー集団なはず。
でも婆さんも父さんも、魔法は魔導デバイスで補助してた。しかも超絶マイナス思考なダウナータイプ。その段階で“呪い”が最悪なものだって普通はわかる。……子どもの頃の拙者、察し悪すぎか?」

「…………………………」

一族の“呪い”がブロットだけを燃やすものだったら、どれだけ良かっただろうか。しかし現実はそう上手くはいかない。
上手くいかない現実に気づけなかった、昔の自分をイデアは蔑んだ。

「ブロットを燃やし続ける僕らの身体は、この嘆きの島の地中深く……負のエネルギー渦巻くファントムどもの墓地『冥府』を管理するためだけに適合してるわけ。
最高によくできた呪いだよ!さすがは『神々の時代』と呼ばれた古代にかけられた呪いですわ。拙者ごときがどうにかできるわけがない」

「……兄さんは天才だよ。だから、本気を出せばこの状況を変えられるかも!」

「そりゃ、拙者はけっこう優秀ですよ?でも……先祖代々どうにもならなかったことを、なんとかできるほどじゃない、本気出すだけ無駄。



………それに、オルトだって忘れたわけじゃないだろ。
この場所から出ようとして、“オルト”がどうなったか………………」

「それは…………」

数年前に起こった、あの悲劇。思い出すだけでも苦しい過去を、彼らは持っていた。
悲しく肩を落とすオルトを見て、イデアは口を開いた。

「僕の運命は生まれたときから決まってる。この暗くて辛気臭い場所で、亡霊たちと一生を共にするしかない。
万が一にも僕らが役目を放棄し『タルタロス』に封じられてたファントムたちが地上に溢れ出すことがあれば……世界はまた混沌(ふりだし)にもどる」

ファントムたちが冥府を抜け出し、ツイステッドワンダーランドに蔓延り始めた時、それは世界の終わり。
そういう面で、イデアたちはかなり重要な役目を担っているのだ。

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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年3月18日 11時

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