難解ロジック！ ページ8
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No side
「正確なブロット蓄積値を計測しようとすると、そのたびに数値が著しく狂うんだ」
イデアがらしくない返答をしたのは、目の前のデータが表していた。
「ファントム化した被検体と同等か、それ以上のブロットが溜まってるレッドゾーンな数値が出たかと思えば……次の瞬間には限りなくゼロ、みたいな数値が出る。ヒーリングルームでブロットケアを試みても、全く効果がなくって。見てよコレ」
続いて映し出されたのは、テストを終え、個室で眠るグリム。彼にとっては大きなベッドで大の字にして寝言を言っている。
『むにゃ……ユウ、デザートひとくちよこすんだゾ……ぐぅ……』
「すごく気持ちよさそうに寝てるね。各数値もすごく安定してる」
「謎の組織に攫われて、よくヘソ天で爆睡できますな……。その謎の組織のボス(仮)が言えたセリフじゃないですが」
グリムの図太さはかなりのもの。それが元々のものか、はたまた誰かのものが伝播したのか……。
巫山戯をやめたイデアは咳払いをすると、生真面目に話し出す。
「バトルシミュレーターの他にもいろいろと検査をしてみてわかったけど……グリム氏には、なんらかの強烈な魔術がかけられた痕跡がある」
「彼の耳から出ている青い炎……魔獣だから種族特有のものかと思っていたけど、もしかすると兄さんと同じで、呪いが具現化してるの？」
「そのセンで術の解析を試みたけど、かなり複雑な魔法の重ねがけされてて、全体像が掴めない。『S.T.Y.X.』の保有するスーパーコンピューターの処理能力をもってしても、解析し終わるまでに100年かかりそうだよ。重ねてある魔法の浅めの階層を覗いてみてわかったのは、かなり古い魔術だってこと」
「古いって、どれくらい？」
「1000年前の原始魔法クラス」
彼にかけられた、思った以上に古い年代の魔術。これにはオルトも驚き、目を見開いた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年3月18日 11時
