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No side
ユウたちを研修施設に送り、旧市街に出たオルト。先程のルークの言葉をオウム返しに呟き、ふと考える。
「『やれるだけのことはやった』、か……。兄さんのために“
たった一人の、大切な兄さん。“オルト”はもう
「真面目だね〜」
旧市街を通るオルトを、遠くから見つめるひとつの姿。彼は生黒い瞳をしていた。
「そんなめんどくさいこと考えてる暇があったら、僕なら散歩にでも出かけるかな」
彼はどこからかお菓子の袋を出すと、バリバリと中身を食べ始めた。
「ふふん♪ 今日は仕事で来たのに、面白いことでいっぱいだぁ！」
楽しそうに笑う彼は、食べ終わったお菓子の袋を適当に投げ捨て、座っていた腰をあげる。
「さてさて、そろそろアイツと連絡を取らないとな。でも施設内っていーっぱい人がいるから、見つからないように接触するのって難しいんだよね〜。でもでもアレが一番手っ取り早かったのも事実だし…………
やっぱり渡し守を乗っ取るのは失敗だったかなぁ」
＿＿＿
＿＿
＿
旧市街を渡り、オルトは『S.T.Y.X.』内の管制室に入る。中では、イデアが難しい顔で目の前のデータとにらめっこしていた。
「ただいま、兄さん。被検体Fのテストはどう？」
「今バトルシミュレーションでのテストが終わったところ。うーん……本当になにもかもショッボいんだよなぁ。『高濃度のブロットが検出された魔獣』っていうのは事前の調査通りなんだけどね」
イデアほモニターに、被検体の全てのデータを写し、オルトに見せる。
「検査でわかったのは、魔獣となんらかの動物を魔法的に掛け合わせた存在だってこと。人間と同等の思考能力を持っていること。魔法は見た目通りショボいこと。それから……
ブロットの蓄積量が桁外れに多いかもしれないこと」
「かもしれない……って、兄さんらしくない発言だね。どういうこと？」
推測よりも断定。兄らしくない、曖昧な物言いにオルトは首を傾げた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年3月18日 11時
