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No side
「……『ケルベロス』？『ケルベロス』、応答せよ！
電源が復旧したはずなのに『ケルベロス･システム』が僕の声に応答しない……！？オルト！応答して。オルト！」
電源が復旧した時点で、
「……クソッ、どうなってんだ！？」
＿＿＿
＿＿
＿
管制室に走ったイデア。到着するとその場は混乱、動揺、焦りの雰囲気が覆っていた。
「『ケルベロス･システム』、完全に沈黙。外部からのコマンドを受け付けません！」
「『タルタロス』凍結維持レベルが低下！第1、第2、第3タワー内、第1層にて、ケージ内の融解開始を確認。各被検体の意識レベル、上昇中です！」
「外部への緊急要請、所長への緊急コール共に応答がありません！賢者の島へ向かったカローン･ヘキサ班とも連絡が途絶えました！外部との通信が全て遮断されています！」
「インビシブル･シールド、緊急解除コード、否認！」
飛び交う声、悪い方向へと向かっていく現状……『S.T.Y.X.』史上類を見ない状況にイデアは絶句した。
「こ……これは……一体なにが起こってんだ？」
「所長代理！『ケルベロス･システム』が全ての機能を停止しています！」
「あり得ない！『ケルベロス・システム』の設定を変更するには、シュラウド家の人間の生体認証が必要だ。この島で今その権限を持ってるのは僕だけのはず……なのに、どうしてこんなことに？」
両親が不在のなか、シュラウドの権限を持つのは島内でイデアただ一人。
彼自身も何が起こっているのか分からないが、とりあえずキーボードにとびつく。
「と、とにかく原因究明は後。まずは『ケルベロス』を叩き起こさないと！生体認証で起動できないなら、手動で再起動用のコードを打ち込んでいくしかない」
『＿＿兄さん』
どうにかしてあの番犬を起こそうとした時、ずっと繋がらなかった彼の声が聞こえた。
「オルト！よかった、やっと繋がった。『ケルベロス･システム』が止まってる。復旧に協力して！」
『ごめんね、兄さん。それはできない』
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年3月18日 11時
