友情オンライン！ ページ39
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No side
『S.T.Y.X.』研究所内にある個室。
イデアは室内で1人、キーボードを叩きながら深いため息をつく。
「はぁ〜……問題児たちの検査、ようやく全行程終〜了〜。グリム氏に施されている魔術については引き続き調査をするつもりだけど……魔力保有量からして、なにか問題が起きても大事になりっこない。まあ、経過観察でOKでしょ」
キーボードを叩いていた手を止め、イデアは天井を仰ぐ。
「それにしても……ナイトレイブンカレッジの生徒を収容調査をするよう『S.T.Y.X.』に依頼してきたのって誰？『黎明の国』政府を介して、匿名での通報……逆探知対策ばっちりなところが怪しさ満点。
怪しさ満載と言えば……この短期間で5人が連続してオーバーブロットしたこと自体そもそも異常ではあるんだけど。ナイトレイブンカレッジで過去100年のうちオーバーブロットした生徒は10人にも満たない。それが半年足らずで5人。今の在校生が特別問題児揃い、ってことで片付けられるレベルを超えてる。でもテストの結果を見るに、被検体自身になにか特異性があるわけじゃないんだよなァ〜」
一般的にもあまり見られないオーバーブロット。それがこの短期間のうちで、大量に発生している。『S.T.Y.X.』の過去のデータと比較せずとも、異常である。
「封印されていたファントムや強力な呪いを解き放ってしまった影響でオーバーブロットした事例も、ないわけじゃないけど……。でも、賢者の島は
まさか……誰かが人為的に、オーバーブロットを誘発させている？」
可能性のひとつを口に出したイデアだが、すぐにないないと首を振る。
「………………いくらなんでも現実的じゃないか。
世間一般的にオーバーブロットの原因は、魔法の使いすぎによるブロットの許容量超過、並びに術者の負の感情の高まりによるもの……と言われてるけど、そんな単純じゃない。
オーバーブロットには、無数の因果……原因と結果の連鎖がある。全ては過去から連なる因果の積み重ね。そして感情を暴走させるトリガーとなるのは、1番存在の証明が難しく、数値化が不可能とされる“心”。“心”だけは……制御しようと思っても、制御できない。つーか人為的にオーバーブロットを制御できるなら、『S.T.Y.X.』はとっくに解散してますよネー」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年3月18日 11時
