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No side
「なんと！コントローラーの上ボタンがなんだか分かっていなかったリドル氏が！？」
「それもこれも、ひとえに僕の根気強いアドバイスのおかげですよ。ねえリドルさん？」
「キミは横からあれこれと口を挟んでいただけじゃないか」
「クリアできたんだろ？結果オーライじゃないか」
「アンタたち、あれからずっとやり続けてたわけ？ちゃんと休憩は挟んだんでしょうね」
一気に賑やかになる室内。
兄とゲームに熱中する兄の学友。今まででは絶対に有り得なかった光景が、目の前に広がっていく。
「ゼロを、ゼロのままにしない……そうすれば……ひっくり返せる
ヴィルからもらった言葉を呟いた時、室内に放送が入った。
《ヒトロクマルマル、被検体ROS-895A、SUS-3320Bのテストを全行程終了しました。該当ファントムのケージを凍結、収容完了。館内の全扉のロックを解除します》
アナウンスと共に、館内全体のロックが解除。無論、ルウたちが閉じ込められていた部屋のロックも開いた。
「あ、ようやくテストが終わったみたいっすな。ふぅ……やっとこの猛獣だらけの空間から解放される……」
「なんだかんだ、あっという間の3時間だったわね」
「ふぁ〜あ……、よく寝た」
「レオナ先輩……よくあの騒ぎの中で眠れましたね」
「逆にすごいぞ」
「うう……目をつぶると、川を流れる人魂がちらつく……」
「僕はゲームの実況動画がエンタメとして成立する理由が少しわかった気がします。もう少しでクリアだというところで、ミスをした時のリドルさんの叫び声ときたら……思い出しただけでも……フフフッ！」
経ってみれば、案外あっという間だった時間。各々満足に過ごせたようで、イデアは6人に向かって指示を出す。
「それじゃみなさん、各自個室に戻ってクダサイ。明日朝8時には、学園へ向けて出発する予定なんで……。それまで大人しくしといて」
そう言われると、彼らは元いた個室へと歩く。残ったのはイデアと、これから話しかけられたヴィル、そして……。
「……あ、そうだ。ヴィル氏。ちょっと話があるから残ってくれる？」
「アタシにだけ？かまわないけど……」
数時間前に現れた仰天3人組からの言葉を思い出しながら、イデアはヴィルを呼ぶ。
「………………………………」
そしてルウは会議室のドア付近でじっとオルトを見つめ、壁沿いに自分の個室をめざした。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年3月18日 11時
