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No side

「ゼロにはなにをかけてもゼロのままでしょ?でもなにかアクションを起こせば、0が0.001に変わるかもしれない。そして、0.001は100になれる可能性を秘めてるの。
だったらやらない理由はないわ。『スター・ローグ』の主人公だって、ゼロからスタートして、最後はヒーローになる。そうよね?」

「そりゃそうですけど、それは作り話ですし……。現実はそう上手くいかないでしょ。結局ゲームの制作陣だって、志半ばで解散しちゃってるわけだしさ」

「ええ、アンタの言う通り。いつだって現実は厳しく、予定調和のハッピーエンドとはいかないわ。
でも……だからこそ、ひっくり返せる未来(シナリオ)もあるはず。だってアタシたち、まだ18歳よ?諦めてエンドマークをつけるには早すぎる」

18歳という若さで、社会の波に揉まれるヴィルだからこそ、一度自分の醜さを受け止めた彼だからこそ言える、説得力のある言葉。

「かっこいいじゃんか、ヴィル」

「で、でも、拙者にはそんなの…………」

「無理じゃないよ、兄さん!!」

消極的で、諦めかけているイデアに隣のオルトは明るい声で叫ぶ。

「へぁっ!?」

「学校の友だちを家に呼んで一緒にゲームをするなんて、僕たちには絵空事(フィクション)だってずっと思ってた。でも、こうして実現したんだもの」

「え、えぇ〜?だからさ、今回のは友だちを家に呼ぶのとはちょっと違うでしょ……」

「僕、なんだか自分がやるべきことがすこしだけ見えてきた気がするよ。ありがとう。ヴィル・シェーンハイトさん!」

「?お礼を言われるようなことはなにもしてないけど……アンタがなにかポジティブな気付きを得たんなら、良いことね」

「うん!」

「お、おーい、オルト?拙者の話聞いてる……?」

何やら自己解決した様子のオルト。笑顔の彼とは裏腹に、一人棒立ちのイデア。ダメだこりゃ……とイデアが手を額に当てた時。

「__やった!!!!最初のステージをクリアしたぞ!!」

「あっ!リドル・ローズハートさんがイージーモードで『冥界伝説』の1面をクリアしたみたい」

ずっと集中してゲームをしていたリドルが嬉しそうな声を上げた。

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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年3月18日 11時

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