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オルトくんに着いてきた私たちは、『S.T.Y.X.』本部の研修施設にやって来た。
施設内は最先端の技術でフル活用した、近未来的な作りで、語彙力がなくなる程の……とにかくとんでもない場所だった。
研修施設にやって来た私たちは、オルトくんに一人一台タブレットを渡され、ＮＤＡ…… 秘密保持契約にサインすることを頼まれた。
それはそれはひとつが長い上に大量の項目があり、およそ1時間かけてサインをし終えた。
「みんな、NDAにサインをしてくれてありがとう。君たちがこの島へやってきた方法や動機についても、詳細に話をしてくれて助かったよ。……でも、それもヘンテコすぎて、このデータが今後の防災予測に役に立つかどうかはわからないけど」
「そうかい？我々はとても自然な感情からここへ向かったのだけど」
「被検体に化粧水を届けにきた人、一方的にこてんぱんにされたのが許せなかった人、それから、被検体と対話するためにきた人。人間って、本当に理解し難い……いや、予測できない行動をするよね」
オルトくんは私たち一人一人を見ながらそう言った。彼はロボットだから、プログラムされたことしか知らない。私たち人間の、俗に言う“情”というものがないのだ。
「なかでも驚愕に値するのは、この島へたどり着いた方法……ルーク・ハントさんのユニーク魔法『
「ふふふ。ばれてしまったか」
「やっぱり！兄さんも言ってたけど、本当にナイトレイブンカレッジのひとたちって油断ならないんだから！」
ぷんぷんと怒るオルトくん……マズイ、めちゃくちゃ可愛いぞこの子…………。
「『S.T.Y.X.』がヴィルたちをひどい目にあわせているのなら、強硬手段に出るのもやむなしと思っていたんだが……。オルトくんが丁寧に状況を説明してくれたからね。彼らがオーバーブロット後、賢者の島の魔法医術士に適切なケアを受けていたことは知っていたけど……『S.T.Y.X.』本部でより専門的な検査とブロットケアを受けていると聞いて、安心したよ」
私が場違いなことを考えている時、ルーク先輩は少し怒りを顕にした様子で言った。……彼も、怒る時があるのか。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年3月18日 11時
