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Lou side

「確かに普通の人にとってはよくあることかもしれないけど……僕らにとっては絵空事(フィクション)でしかない。それに今回は“友だちが家に遊びに来た”んじゃなくて“知人を被検体として研究所に連行した”の」

「知人を所有地内に移動させたって部分は同じじゃない?」

「ぜんぜん違う。楽園と冥府くらい違う。認識アップデートよろ。
だいたい、この問題児たちが友だちだって?ご冗談でしょ」

オルトの認識の間違いをイデアが訂正する。オンボロ寮にエースたちが遊びに来るのと違って、今回はこっちに楽しみな感情なんて一切ないからな。イデアの言うことは正しい。

「ちょっと、そこの2人。なにぶつぶつ言ってるのよ。アタシたちの話聞いてる?検査が終わったっていうなら、日課のワークアウトかヨガをさせてほしいんだけど」

「俺も少し身体を動かしたいですね」

「あ、ラジオとか貰えないか?」

「肉」

「紅茶!」

「経済誌!!」

「あ〜〜〜〜〜〜〜!!やかましい!!明日には帰れるんだから、ちったあ大人しくできんのか〜〜〜〜!」

自己中心的な我儘の数々に、イデアは頭を掻きむしりながら叫んだ時、館内に放送が入った。

《ヒトサンマルマルより、被検体ROS-895A、SUS-3320Bのテストを開始します。現在、該当ファントムのケージを凍結解除中。
職員の安全に万全を期すため、テスト終了まで館内の扉は全て施錠されます。館内を移動中の方は、すみやかに管轄エリアにお戻りください》

ヒトサンマルマル…?なんだそれ?
それに被検体……ファントムのケージを凍結解除……?一体、部屋の外では何が起こっているのだろうか。

「……今日はAクラスのファントムのテストか。少し時間がかかるかもしれないな」

ボソッと呟いたイデアの声を、俺の耳は捉えた。元々、魔獣の時は獣人族と同じ様に耳がよく聞こえる。それは人間の姿になっても変わらない。
イデアはこちらを一瞥すると、困惑の渦の中にいる俺たちに告げた。



「というわけで、君らは今から2、3時間はこの部屋から外に出られません。各自適当に暇つぶしヨロ」


「「「「「ええ〜〜〜〜!?」」」」

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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年3月18日 11時

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