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No side
「レオナ氏もヴィル氏と同じく、タンクのジョブを務めてほしいステータスをしとりますな。本人の性格が“リーダー職”とも言われるタンクに全く向いてないのはおいといて……。
みんな、性格と最適ジョブが絶妙に噛み合ってないところがSSR[前代未聞の問題児]っぽさ満載。ワロス」
サラッと被検体の彼らをディスっていくイデア。この場に彼らがいたら、間違いなく脳筋が切れていただろう。
「じゃあジャミルさんは?ゲームなら、どんなジョブに就くのがいいかな」
「ジャミル氏は……うーん、どのジョブでもそれなりに立ち回れそうなんだけど。傾向としては、アズール氏と似たタイプですな。速度よりも、効率に重点をおいてる。
プロフィールを見ると、ジャミル氏もナイトレイブンカレッジに入るまでは専門的な魔法教育を受けてない。ガス欠を恐れてるのか、常に魔力残量を気にして立ち回ってる感じがある」
「兄さん曰く『良く言えば、落ち着いてて効率いい。悪く言えば、他人を盾に時間稼ぎ』するタイプか」
アズールもジャミルも、表面上に違いは見られても根は一緒である。似た者同士は毛嫌いすると言うが、ジャミルがそのいい例なのだろうか。
「ただ、防衛魔法の発動だけはかなりスピーディーで的確。カリム氏の護衛役だからそこに特化してるとか?」
「じゃあ、タンクをサポートする近接アタッカーか、ヒーラーが最適ジョブかもね」
「ですなー。初心者向けのジョブと思いきや、結構立ち回り難しくて、上級プレイヤー向けのヤツ」
“被検体”としての話より、ゲームとしての話に移り変わりつつあるシュラウド兄弟。
オルトは最後の被検体のデータに目を向けた。
「最後はルウさんだよね……って、この数値は……」
「驚くのも無理ないよね。こんな数値見ちゃうと」
オルトが珍しく目を見開いて驚く。それは魔法使用時のルウの魔力出力量のデータが理由を言っている。
「ほとんど……いや、どんな時も全く同じ量の魔力を出している。強いて言えばシュウ氏と1体1の時は乱れる傾向にあるけど、それを抜きにしてもこれだけ一貫して同じ魔力が出せるのは、凄い通り越して恐怖の域に達しますわ」
「それにこの魔力量だと、効率と威力。どちらにもバランス良く適応しているね。
ルウさんのオーバーブロット前のデータだと、かなり荒々しく魔法を使ってたみたいなのに、これってどういうことなのかな?」
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年2月26日 11時