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No side
「「「………………」」」
いつもの光景のはず。それなのに、どこか違和感を感じずにはいられない。黙りこくるリドルたちを、副寮長3人は不思議そうに見つめる。
「?どうしたんだい、3人とも。狐につままれたような顔をして」
「俺たちの顔に、なにかついてるのか?」
「……いえ。なんでもないわ。行きましょう」
『なんでもない』。そう首を振り、ルークたちと共に食堂の出入口へ向かおうとした時だった。
「ふふ……ヴィル。いけないよ。そんなに無防備な背中を見せては!」
「はっ!?」
突然、ルークがヴィルに向かって炎魔法を放った。さすがの反射神経でそれを躱すが、彼らは動揺せずにはいられない。
「ルーク!?突然何をするの!」
続けざまにジェイドとトレイも我らが寮長に向かって魔法を放った。アズールもリドルも防衛魔法でなんなく事を終えるが、自分を突然襲ってきたことに驚きを隠せない。
「ジェイド!?」
「トレイ!どういうつもりだい!?」
リドルたちを前に、ルークらは“ヴィラン”の笑みを、その顔に浮かべた。
「お忘れではないかな?この学園の生徒は全員、寮長に挑む権利を持っている」
「学園長にはすでに決闘の申請を出してあります」
「アンタたち……アタシたちを倒して、寮長になるというの?」
「私はね、ヴィル。美しいものが好きなんだ。だから……
一度醜い行為に手を染めたキミを、美しき女王の椅子には座らせておけないのさ!」
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年2月26日 11時