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No side
「所長代理。連行した被検体Fの検査はどうなさいますか？医療班からは、まだスリープ状態から覚醒していないとの報告が」
「……被検体F……グリム氏か。あのモフモフに関しては、不確定要素が多すぎる。
使える魔法も他の5人とは比べ物にならないくらいショボいし……シミュレーターでテストしてもあまり意味なさそうなんだよなぁ。とりあえず、まだ寝かせておいていいよ。意識が戻ったら、一応報告くだしあ」
「了解」
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「被検体A、C、E。オルトと共にシミュレーションルームに入室」
「各種データ計測準備完了。フタイチゼロゼロ、記録を開始します」
「あー、テス、テス。こちらオペレーティングルーム。こちらの声きこえてます？」
指令室に来たイデアはマイクを通して声を発する。すると声を聞いたオルトが、シュミレーションルームから応答する。
『こちらシミュレーションルーム。音声良好。テスト用魔力測定ギア、各被検体に装着完了』
「ちょっと、アンタたちだけで勝手に話を進めないでくれる？だだっ広い部屋につれてこられたと思ったら、大きなヘッドセットをかぶせられてなにも見えないんだけど」
「一体、ボクたちになにをさせるつもりなんだい？」
「まさか……同士討ちをさせるつもりじゃないでしょうね」
当たり前だが、まだまだ疑心暗鬼真っ只中の3人。彼らにオルトが優しく言う。
『そんなことはさせないよ。今みんなに装着してもらったのは魔導VR用のヘッドセットさ。これから君たちには、仮想空間で敵とバトルシミュレーションをしてもらう』
「仮想空間で、バトルシミュレーション……？」
「ごちゃごちゃ説明するより、体験してもらったほうが早いな。オルト、はじめて」
「待ってくださいイデアさん、さっき説明書は最後まで読めっていいましたよね！？」
『了解。バーチェルエネミーモード･スタンバイ。ダイブ･スタート！』
突如、目の前が真っ白に染ったかと思うと、周りには電子回路のようなものが張り巡らされている部屋に彼らはいた。
「ここは一体…！？」
『魔導VRで作り出したバーチャル空間だよ。施設内では魔法を制限させてもらってるけどここでなら撃ち放題！どれだけ暴れても現実世界のボディにダメージが反映されることはない。だから安心して全力を出してね』
オルトの後ろには2体のカローンが出現。没収されたマジカルペンも現れ、3人はニヤッと笑みを浮かべる。
「なるほど…そういうことなら遠慮はいらないわね」
「そうでなくても手加減するつもりはないよ」
「いくわよ！」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年2月26日 11時
