診察パピーズ！ ページ2
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医務室にいたのは、我が担任のクルーウェル先生。シュウが言っていた、『医務室の先公』ってクルーウェル先生のことだったのか。
「ラギー先輩とルーク先輩に担ぎ込まれたヤツらの様子を見てくるよう頼まれて。クルーウェル先生こそ、どうしてここに？」
「俺のクラスの仔犬が2匹、担ぎ込まれたと聞いてな。まったく、仔犬のくせに無鉄砲な真似をして……」
先生の仔犬……エースとデュースのことには間違いない。
「ん、ホワイトも軽く怪我をしているな。来い。擦り傷程度なら、この俺が手当てしてやろう」
「……はい」
クルーウェル先生は棚から消毒や脱脂綿を取り出し、椅子に座ったら私の怪我を手当してくれた。一番酷い怪我である首元は、ちゃんとした養護教諭に診てもらった方がいいかな。
「デュースたちはどのベッドに……あ」
「2人はまだ目を覚ましてないよ」
私が手当を受ける隣で、ジャックが当たりを見渡すと、既に意識を取り戻していたエペルがベッドから起き上がっていた。
「エペル。もう起きて大丈夫なのか？」
「平気。まだ体がちょっとビリビリしてるけど」
「お前たちにかけられた魔法の痕跡を解明したが、ほとんどがスタンを目的としたものだった。物理的なダメージが大きかったのは、戦った場所が悪かったせいだろう」
「どういうこと……ですか？」
スタン状態……つまり私たちを攻撃したにしても、意識不明が目的だったというわけか。
「あんなボロい建物の中で派手に魔法をぶっ放せば、敵にも味方にも被害がでるのは当然だろうが。1年生に降り注ぐ瓦礫を魔法障壁で弾きながら攻撃魔法を使うことは難しい。突発的に交戦状態に陥ったときこそ、冷静な状況判断が大切になる。
そうでなければ、このように自滅する」
「あ、あはは。確かに戦っているあいだずっと上から瓦礫が降ってきてた、かな？」
「そういえば屋根の上から大釜も……窓ガラスも全部吹き飛んでいたし」
目の前のことに必死で、自分たちがどれほど不利な状況で混戦していたのか。冷静になった今振り返れば、かなり危険なことをしたものだ。
「これだから後先考えないバッドボーイどもは……。起きたらみっちりしつけ直してやる」
「でも、2人はグリムクンのために……」
エペルはグリムを助けようと動いた、エースとデュースを庇う。だけど、先生の口から出た言葉は至極真っ当なものだった。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年2月26日 11時
