愛され方を忘れた少女 第十五幕【ツイステ】

本音リリース！ ページ21

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「ここには僕しかいない。思いきって大声で言いたいこと叫んでみろよ。それだけでも、スゲースッキリするぞ！」

「うん…………わかった。



……………………スゥーッ…………」


エペルは一歩踏み出し、静かに息を吸う。



「そった急にめごぐなれって言われで、なれるわげねーべよ！」

「「「！！？？」」」

えっ何……？何その方言……訛り……？

「わーの地元は、人間よりベゴのほうが多いド田舎だし、わーは、農家の息子だや！！！まず訛んねーでしゃべるだけで精いっぱいだはんでな！」


「べ、ベゴ……？」

「一応、輝石の国の方言で牛を意味するな……」


「踊りだっきゃ、村の祭りと運動会のお遊戯でしかやったことねーんだはんで！流行りの服だの、上品な仕草だの、そったのわがるわげねっきゃ！
つーがわーは、めごぐなりてぐねーんずよ！わーは、逞しくて背たげくて、強い男さなりてーんだね。



ばっきゃろ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！！！」

エペルのごてごての訛りに私たちは目をパチパチさせて、思考停止お疲れ様。あのシュウもエペルの口から出た言葉に唖然としている。

「はぁ……はぁ……っ！あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜ッ！！たげスッキリした！」

「な、なにを言ってるのか半分くらいわからなかった。何語……いや、もしかして訛りか！？エペル、お前どこの出身なんだ……？」

「輝石の国の北のほうの山奥。豊作村っつーどご。寮長が訛ってで伝わらねーはんで、人前であんまりしゃべるなって。
寮長、口開けば『訛るな、上品に「クン」つけで名前呼べ、大声出すな』って。もう、どひゃーいんずよ！」

「お前のこと、初対面からずっと気弱で無口なヤツだと思ってたんだが……。本当は全然違ったんだな。ははっ」

たしかに見た目が見た目だから、私も最初は大人しい子かと思ってたけど……素は全くの別人だったんだね。

「ああ、でもアイツ制服の下にヒョウ柄のシャツとか着てたな」

「うせやろ」

「運動着の時にチラッと見えた」

まさかの爆弾発言。これが教師の力ってやつですか、絶対にヴィル先輩の前で言わないでねシュウ。

「だってよ、寮長の前でうっかり訛るとしばかれんだ。だから気軽に口が開けなくて。制服のフリフリのシャツも、全部寮長の命令でいやいや着てるだけ」

「えぇっ？寮長命令で？ハーツラビュルのように独自の法律があるわけじゃないのに、なんでそんなことに？」

「それは…………9月の入学式の日…………」

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