噴出コンプレイン! ページ43
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「ぜぇ、はぁ、喉がカラカラなんだゾ。カリム、水を出してくれぇ〜」
オアシスに辿り着いた私たち。寮生たちも昨日よりも疲労困憊の表情だ。そんな中、昨日のように水を出してほしいと思ったグリムがそう言うと、カリム先輩は眉間に眉を寄せて叫ぶ。
「このオレに水を出せ、だと?お前、誰に向かって口を利いている!」
「ヒェッ!?」
「オレはお前らの水道じゃない。水が欲しいものはオアシスから汲んでくるがいい」
その言葉はオアシス周辺に大きく響いた。私も含め、寮生達は皆、絶句した。
見ればわかる、こんな状態のオアシスから水なんて汲めるわけがない。………無茶振りを超えて横暴だ。
「……この干上がったオアシスから水を汲めだって?」
「さすがに横暴すぎるだろ…………」
「寮長は本当にどうしてしまったんだ?」
彼らも私と同じ反応だ。でもやっぱり…あの日のカリム先輩がチラつく。どうしてこんな人格に…。
「大丈夫だ。こんなこともあろうかと、ラクダに水を積んできてある。荷物を下ろして水を分け合え」
「ありがとうございます。ああ……ジャミル先輩が寮長だったら良かったのに」
「!! 滅多なことをいうんじゃない。カリムに聞かれたらどうする」
「だって、そうじゃないですか」
1人が本音を零すと、ジャミル先輩はサッとカリム先輩の方に目を向けた。今の彼にこの言葉を聞かれれば、何をするか分からない。
「カリム寮長がこうなる前から、寮長の仕事らしいことは、ほとんどジャミル先輩が……」
「シー……。いいんだ。それがアジーム家に仕える俺の一族の……いや、俺の仕事だからな」
カリム先輩の寮長の仕事を、ジャミル先輩が……?
副寮長であるジャミル先輩が何故?
確かに“前の”カリム先輩は自由な感じだったし、言い方は悪いかもだけど………書類系に強い人っていう印象はなかった。
それなら何故彼が寮長になったのだろう。前寮長の指名……だとすれば、寮長の仕事もこなせて、気配りや料理もできるジャミル先輩がなってもおかしくない。
それなら決闘?前寮長にカリム先輩が、決闘を挑んだとか……?
「水を飲んで少し休め。陽が高くなって気温が上がってきた。きっと帰り道のほうがキツくなるぞ」
「ジャミル先輩…………」
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時