明星ディスカバー! ページ29
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「本日はここまで!明日の午前中は、東のオアシスまで行進だ。徹底的にしごいてやるから、そのつもりでいろ!」
夕食後、食べたものが出そうなぐらいに厳しい防衛魔法の特訓を行った私たち。カリム先輩が去って行ったあと、寮生たちは皆一斉に地面に座りんだ。
「はぁ……はぁ……。手も足もガクガクだ……」
「誰か、水……水をくれ……」
「明日も朝から砂漠を行進なんて……」
「寮長はどうしちまったんだ。前はこんなことする人じゃなかったのに」
「………………」
私も彼の豹変ぶりには驚いている。さっきまであんなに朗らかで優しかったのに、いきなりあんな風になるなんて……。
「ぜ〜は〜……やっと終わった」
「だ、大丈夫?」
「もうヘトヘトなんだゾ……。それにしてもアイツ、さっきまで超ニコニコしていいヤツだったのに、急に人が変わっちまったんだゾ。どうしたんだ?」
「きっと、寮対抗マジフト大会や期末テストでスカラビアの成績がふるわなかったことに……責任を感じてるんだろ。
アイツは最近、ひどく情緒不安定なんだ」
「情緒不安定ってレベルじゃねぇんだゾ。まるで別人じゃねーか」
「そろそろ二重人格説推していきません?」
「俺もアイツとは長い付き合いだが、今のカリムとどう接したものかと困り果てている。言動がコロコロ変わったり、急に横暴になったり……とにかく手に負えない」
前までは今日私たちが関わったカリム先輩と、なんら変わらなかった……というか、彼の本当の姿はそっちってこと?
「こうなる前は寮生全員が寮長であるカリムを慕っていたが、最近のおかしな様子には戸惑うばかりで……。さっきのように突然無茶を言い出すことも多くて……このままじゃ寮生たちの不満が爆発するのは時間の問題だ」
たしかに普通に反乱起こしたりもすることも、考えられなくはないよね。
「今まではなんとかフォローしてきたが……俺1人の力ではもう限界が見えている」
「うーん、ハーツラビュルのトレイといい副寮長ってヤツは苦労するんだゾ」
「寮長がヤベェ奴らなだけじゃないかな」
一緒にヤベェことしてたジェイド先輩はともかく、ほとんど副寮長的な扱いを受けてるラギー先輩も相当な苦労人っぽいしね。
「あっ!
そうか……君たちこそ、“ダイヤの原石”なんだ!
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時