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「お城みたいな大豪邸に住んでそうなんだゾ」
「そうでもないぜ。召使いも100人くらいしかいないし」
「それを一般ピープルはお城みたいな大豪邸と言います」
「100人いれば十分すぎるんだゾ!?オレ様だって子分は1人しかいねぇのに」
グリム、お主もしや……子分を増やすつもりではあるまいな……?嫌だ!グリム親分は誰にも渡さんぞ!!
「オレんち、オレの下にきょうだいが30人以上いる大家族だからさ。それくらい召使いがいてくれねぇと面倒みきれねぇんだよ」
「さ、30人!?」
「うーん、40人だったかな。30人超えたくらいから数えるのやめちまった!顔と名前はみんな覚えてるんだけど。あっはっは!」
「スケールがなにもかも庶民と違いすぎるんだゾ……」
でもさっき人の名前覚えるの苦手って言ってたのに、たくさんいる兄弟のことは全部覚えてるのはカリム先輩らしいと思ってしまう。
「ジャミルのとーちゃんとかーちゃんもオレんちの召使いで。だから、ジャミルにも小さい頃からずっとオレの世話係をしてもらってる。ジャミルはスゲーヤツなんだ。頭もいいし気も利くし、なにより料理が上手い!」
「確かに、さっきの料理はスゲー美味かったんだゾ」
「だろ?じゃあ今日は夕食も食べていけよ!なっ!」
「お、おう。……なんかコイツとしゃべってると調子狂うんだゾ」
「この学園では珍しい、いい人だね」
これまで会った人たちは……うん、独特な人達だったよね。決していい意味ではない方で。
「おーい、お前ら。なにコソコソしてるんだ?こっち来いよ」
するとカリム先輩は1つの扉を開ける。寮生たちが過ごす部屋とは、少し作りが違う扉だ。
「どひゃー!なんだここ!?ギラギラのお宝がいっぱいなんだゾ!」
この部屋にあるだけで一生過ごしていけそうな大量の金貨、落としたらと思うと手が震えるであろう壺、大きな宝箱からは真珠や宝石のアクセサリーが溢れかえっている。
この部屋はなんじゃ!?!?
「ここにあるものは全部、家を出る時にとーちゃんが持たせてくれたんだ。でも、寮の部屋に入りきらなくてなぁ〜。こうして物置に全部置かせてもらってんだ」
「とーちゃんレベチやん」
「物置じゃなくて、もはや宝物庫なんだゾ!」
「おお。難しい言葉知ってるな、グリム。偉いぞ!」
っていうか、さっき鍵も何もなしに開けたよね?泥棒入ったらどうすんの!不用心でしょ!!
仮にラギー先輩がこんにちはしてきたら、一夜で全部綺麗さっぱりになっちゃうからね!?
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時