盛宴ミリオネア! ページ18
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「どういうことだ、ジャミル。客を呼ぶなんて、オレは聞いてないぞ!」
「カリム、これにはワケが__……」
先程の楽しげな雰囲気は一気に冷め、誰もがカリム先輩の方を怯える目で見つめている。
「な、なんか怖そうなヤツが来た……」
「でも、前見た時とは印象が違うような……?」
低い声でジャミル先輩に言うカリム先輩に怯えたグリムは私の服の袖をキュッと掴む。
「客を呼ぶときは、必ず先に報告しろと言ったはずだ!そうすれば…………
もっとスゲーご馳走と音楽隊を用意できたのに〜〜!」
「「えっ?」」
まさかの言葉に2人で目を点にする、私たち。カリム先輩はニコニコした顔で近づいてきた。
「よう、おふたりさん。よく来たな!出迎えのパレードもなくて悪い!オレはスカラビアの寮長、カリム・アルアジームだ。はじめまして、だよな?」
「いいや、彼らと初対面じゃない。お前は入学式でグリムに尻を焦がされたし、マジフト大会の前にも食堂で話をしたぞ」
「あれっ?そうだったか?あっはっは、悪い悪い。オレ、あんまり人の顔覚えるの得意じゃねぇんだよな〜。気を悪くしないでくれ」
「は、はひ……」
「そんじゃ、改めまして。お前ら、これからよろしくな!」
「よろしくお願いします……」
カリム先輩は今までの寮長とかなりタイプが違くて、こっちも戸惑ってしまう。
真面目で厳格な短気暴君に、怠惰で卑怯なライオンに、可愛い黒歴史を持つ悪徳業者に…………うん、今までの人がヤバすぎただけか。
「今日の料理も美味そうだ。出来栄えはどうだ?ジャミル」
「いつも通りさ。どの大皿にも危ない物は入ってないから、安心して食べていい。毒味も済んでる」
「んえ!?」
「むがっ!?ど、毒味っ?」
「カリムは熱砂の国有数の大富豪の跡取りなんだ。命を狙われることも少なくないから、毒味は必須でね」
えっ、じゃあもしこの料理に毒が入ってたら、私たちお陀仏ってことですか?
「いつも大袈裟なんだよ、ジャミルは。食事に毒物混入なんて……
4年前に2週間昏睡状態になったのを最後に最近はパッタリなくなってるし」
「んー、割と最近っ!」
「この4年はちゃんと毒味役がついたから無事だっただけだ。お前に食わせる前に毒が盛られた料理は処理してる」
いやいやいや、なんか2人でお話しちゃってますけど、要は客人に毒味役押し付けたってことでしょ!?
ジャミル先輩……なんて恐ろしい子!!!
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時