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避難場所を見つけたと思ったケイト先輩だが、自分の家以上にこき使わされそうな場所。彼が肩を落としていると、さっきのケイト先輩みたいに、憂鬱そうな表情を浮かべるリドル先輩が現れた。
「…………」
「あ、ローズハート先輩!道を塞いですんません!」
「…………ん?ああ、お前たちか。まだ長話をするつもりなら、壁際によけるのだね」
いつもよりあからさまにテンションが低くなっているリドル先輩。それに気づいたグリムとエースと、こしょこしょ話を始める。
「あれ?なんかアイツ、元気がねぇんだゾ」
「あー、そっか。寮長は実家でエグめの教育ママが待ち構えてるんだっけ。一時帰宅が憂鬱にもなるか」
「まだ根本的な解決はしてなかったもんね……」
過保護を超えた、子供支配型のリドル先輩の母親。彼自身の気持ちは変わったけど、あの母親に変化があったわけじゃない。
「……リドル。俺はお前の家に立ち入り禁止だからケーキを届けたりはしてやれないけど……。いつでも店に遊びに来いよ。チェーニャも遊びに来るだろうし」
「そう、だね。ボクもお母様と少し……話をしてみようと思う。……聞いてもらえるかはわからないけど……」
「……そうか。頑張れ」
「ファイトですよ、リドル先輩!何かあったら私も突撃・ローズハート家しますから!」
「それは……遠慮しとこうかな」
「ガーン!!」
突撃すれば、リドル先輩母にガツンと言ってやれると思ったのに!もうアポ無しでいくか……?
「突撃されるのはごめんだけど……その気持ちは有難く受け取っておくよ」
そう言って微笑むリドル先輩に、沈んでいた私の気持ちも元通りになる。
「なぁにぃ、金魚ちゃん。おうちに帰りたくないの?」
その時、リドル先輩の後ろからヒョロヒョロとした巨人…………じゃなくて、フロイド先輩が現れた。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時