愛され方を忘れた少女【ツイステ】 (ページ45)

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なんとか魔法石を手に入れた私達は、学園までの帰路についていた。

「にしてもアイツ、だいぶ派手にやりやがっな。新品の制服だってーのに、もう傷だらけだぜ」

「ああ、僕のもだ。あれだけの攻撃を受けたんだからしょうがないと言えばしょうがないな」

「じゃあ僕が直そうか？」

私の言葉に2人はえっ？という顔をしていた。

これでも向こうの世界ではヤンチャな子供達がいっつも破いてくる服の修理やら新しい服の制作やらしてましたからね。傷直しなんてお茶の子さいさいだよ。

「手芸とかそっち系は得意だし。今回、僕はみんなのために何も出来なかったからさ。お礼も兼ねてやらせてよ」

そう伝えると最初は悪いと言っていた2人(エースはあやふやだったけど)は、最後は私に修理を任せることにしてくれた。
任せなさいよっ！家庭科は三年間Aの5だったからね！！

「ユウ〜、なんで撫でるのやめるんだゾ〜」

「おおっと、ごめんごめん」

さっきから大人しかったグリムはと言うと、私の腕の中で抱っこされていた。グリムも彼らと同じように傷だらけであったため、早く治るようにと頭を撫でていたのだ。

「ちぇっ。いいよな、グリムは。歩かなくてもユウに抱いてもらえれば学校に着くんだし」

「モンスターの特権なんだゾ。それにしてもユウに頭を撫でてもらうと、不思議な気分になるんだゾ」

「不思議な気分？」

「なんかこう、ふわふわ〜っとしてぽわぽわ〜っとして………」

「結局なんもわかってねーじゃん！」

「説明が大雑把すぎないか…」

「まあまあいいじゃん。グリムが好きならいつでもやってあげるからね」

グリムはほっぺをちょっぴり赤くして、満足そうな表情を浮かべている。

うん、この子は私が一生をかけて養います。
そんな思いを胸にしまいながら、学園までの道のりを進むのだった。

「見つけた」

暗い森の中、黒い服を着ている男の姿は目立たない。

「あれが例の姫様ですか？」

「今は記憶を失っているがな。それも時期に思い出すだろう」

「しかし思い出した時、姫様はお辛い思いをされるのでは？」

大きな耳を持つ、グリムと同じよう人の言葉を話す動物がそう問うた。

「そんな時、俺らがいないでどうする。

大丈夫だ、ユウ。

あの人達の願いを、奴らの野望を、お前の未来を、

＿＿＿＿＿＿全て俺に任せてくれ」

月明かりが森を照らした。

その時に、彼らの姿はなかった。