愛され方を忘れた少女【ツイステ】 (ページ43)

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執着フェイス！ページ43

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鉱山を抜けた私達は最初に辿り着いた家に戻ってきたが、あの大量の大釜を押しのけてきたであろう怪物はまだ私達を追いかけ続けていた。

「嘘だろ！？あんだけの重しを全部押しのけて追っかけてきた！」

「ウウ…ウウウッ…！イジ……カエセェエ……ッ！！」

こんなにもこの石に執着するなんて………どれだけ大事なものなんだろう。
急に罪悪感に覆われた私の心はどこかチクリと痛むような気がする。

「くそ、このままじゃ追いつかれるっ……！」

「……でも、みんなの攻撃のおかげでダメージは与えられているし、最初よりは確実に弱ってるはずだよ！」

「あーっ、もぉ！やったろーじゃん！チビんじゃねーぞ、真面目クン！」

「お前こそ！」

「オレ様の真の力、見せてやるんだゾ！」

3人が怪物に立ち向かう。
魔法が使えない私は、彼らの背中を見つめることしかできない。

自分には何もできない、そんな無力さを噛み締めて彼らの戦いをしかと目に焼き付けた。

＿＿＿
＿＿
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長かったような、あっという間だった気もする。果てしない格闘の末、怪物はその場に倒れた。それは彼らの勝利を意味する。

「はあ、はあ……っ！」

「やっ…………た？」

「うん！みんな凄かったよ！」

戦いを終えた彼らの元に私は駆け寄った。

「か、勝った！オレ様たちが勝ったんだゾ！」

「よっしゃあ！」

「やったあ！」

「勝利のハイタッチなんだゾ～！」

「「「イエーッ！！」」」

3人はハイタッチを交わした。さっきまであんなに仲が悪かったのに。

「雨降って地固まる、みんなすっかり仲良しだね」

「………あっ、ち、違う。別にこれは、そういうんじゃない！」

「そ、そーそー！変なこと言わないでくんない？」

「力を合わせたから勝てたわけじゃねーんだゾ！」

あらあら、絶対仲良くなったと思ったのに。そう思った私だが、3人はすぐに笑顔を浮かべた。

「……って。言い訳すんのもダサいか。悔しいけどユウの作戦勝ち、かな」

「……ああ。ユウが落ち着いて指示を出してくれたからこうして魔法石を手に入れられた。これで退学させられずに済む。……本当に良かった」

2人は私に向かってそう言ってくれた。

＿＿『…れて……とう』

……………あれ？

なんだろう、凄く懐かしいような気持ちがする。変な声も聞こえたような…。
でも、お礼とか…そういうことは今まで言われたことなかったから、少し照れはあったけど、嫌な気持ちはしない。
大きなフードの中で私は無意識に口角を上げた。