愛され方を忘れた少女【ツイステ】 (ページ25)

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「なあなあ、エース。それじゃあっちの目に傷のあるライオンも有名なヤツなのか？」

「もちろん！」

エースはグリムの問に、律儀に答えてくれた。

目に傷のあるライオンは、サバンナを支配した百獣の王。
彼は生まれながらの王者ではなく、綿密に練った策で王座を手に入れた努力家。王になった後も嫌われ者のハイエナも差別せず一緒に暮らそうと提案した。

タコ足の人魚は、深海の洞窟に住む海の魔女。
不幸せな人魚達を助けることを生きがいにし、お代さえ払えば変身願望から恋の悩みまでなんでも解決してくれる。彼女の手にかかれば叶わない願いはなかったという。ただしお代はちょっと高かったらしい。

大きなターバンを巻いた男は、砂漠の国の魔術師。
間抜けな王に仕えていた大臣で、王子と身分を偽って王女を誑かそうとしてたペテン師の正体を見破った切れ者。その後、魔法のランプをゲットして世界一の魔術師にまでのし上がり、さらにはその力で王の座まで手に入れた。

リンゴを片手に持った女性は、世界一美しいといわれた女王。
毎日魔法の鏡で世界の美人ランキングをチェック。自分の順位が一位から落ちになったらどんな努力も惜しまずやったという。世界一の美を保つことへの意識が高く、毒薬作りの名手でもあった。

頭が燃えている男は、死者の国の王。
魑魅魍魎が蠢く国を1人で治めていた超実力者で、怖い顔に見合わず押しつけられた嫌な仕事も休まずこなすほど誠実。ケルベロスもヒドラもタイタン族も全部彼の命令に従って戦っていた。

最後の角の生えた女性は、魔の山に住む茨の魔女。
高貴で優雅、そして魔法と呪いの腕はこの七人の中でもピカイチ。雷雲を操って嵐を起こしたり、国中を茨で覆い尽くしたりと魔法のスケールが大きかった。巨大なドラゴンにも変身できたらしい。

この七人は誰もが知っている偉人らしい。私の世界にもたくさんの偉人がいたし、そう言われると不思議ではない。

「クールだよな～。……どっかの狸と違って」

「へ？」

さっきまでの柔らかい感じのエースの口調が、小馬鹿にしたようなものに変わった。